【連載コラム】MLB全30球場を制覇 第21話 米プロ野球、はじまりの場所

澄み渡る青空。美しい芝。白球が奏でる音に、歓声が重なり合う。最高峰のプレーに心躍り、熱く盛り上がる場所。メジャーリーグ武者修行の旅でアメリカ中を飛び回り、全30球場を制覇したスポーツアナウンサー福田太郎が、あなたを「夢のボールパーク」にお連れします。MLBスタジアムの世界へ、ようこそ。

アメリカ プロ野球発祥の地

レッズの前身「シンシナティ・レッドストッキングス」は、アメリカ各地を巡業して試合を行いました。実に、今から154年前の1869年のこと。これが職業野球、いわゆる「プロ野球」の始まりです。その後、1871年にナショナル・リーグが誕生し、MLBの歴史が幕を開けました。

ボールパーク内には球団の「野球殿堂博物館」があり、チームはもちろん、アメリカの、世界のプロ野球が歩んできた歴史を感じられます。

グレートアメリカン・ボールパークへ

シンシナティ空港から20分。バスに揺られ、街の中心部へと向かいます。ダウンタウンのバス停で降り、歩いてすぐのところに球場はあります。外野沿いには、雄大なオハイオ川が流れ、水車のような櫂を回して進む観光船がとても美しいです。スタジアムまで歩く道には綺麗な花が植えられ、正面ではユニークな銅像が出迎えてくれます。Great American Ballpark! Nice to meet you!!!

[赤い席と緑の芝が美しい!](

Ballparkの楽しみ方

メインエントランスから入ると、1869年の球団発足時の選手たちと1975年のワールドチャンピオンメンバーを描いた壁画が飾られています。フィールドの方へ歩みを進めると、一面、真っ赤な座席が広がります。かつての球場をモチーフに、赤で統一されているそうです。

センターのバックスクリーンは、街の発展に寄与した「蒸気船」を模しています。船内やデッキは、プライベートパーティーが開けるテラスシートになっていて、さながら船旅のような景色です。レッズにホームランが飛び出すと… ファイヤー! 象徴的な煙突からは、煙ではなく炎が上がります。

[勝利に出航!](

どこか見覚えがあるような気がする「C」のロゴ。「広島カープに似ている!」と言われています。「Carp」に移籍した秋山翔吾さんは「Cincinnati」でプレーした初めての日本人選手です。

ボールパーク内には「Hall of Fame(野球殿堂博物館)」が建っています。貴重な展示の数々を見ていきましょう。プロ野球が始まったばかりの頃のユニフォームには、前掛けのようなものがあって、おしゃれ。グローブ・バット・ボールの変遷も辿ることができます。野球殿堂入り選手のレリーフを飾るギャラリーには、厳かな雰囲気が漂います。

[受け継がれ、発展し続ける](

クレイジー・フード

地域色豊かなフードが充実。名物の「シンシナティ・チリ」も楽しめます。地元の名店「スカイライン・チリ」の「チーズコーニー」が一番人気です。ホットドックの上に、これでもかというほど、たっぷりのチーズをどーん。見た目から、もう美味しい…。細切りのチーズが口の中で溶け、優しくてまろやかな味わいが広がります。ポークポリス(豚肉の都)とも呼ばれただけあって、シンプルなホットドッグも美味。しっかり味の濃いソーセージのおかげで、多種多様な地ビールは、おかわり必至です。

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福田太郎(ふくだ・たろう)/ 1991年生まれ。HTB北海道テレビ放送アナウンサー。プロ野球の実況中継や、朝の情報番組MCを担当した後、2022年2月から11月まで休職。MLB全30球団・ボールパークを訪ね、世界最高峰のスポーツエンターテイメントを学び、12月に復職。写真:福田太郎

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