【別府】自ら「呼吸器の詩人」と称し難病と闘いながら詩作に励み、障害者の支援活動などに取り組んだ故芦刈昌信さん(享年46)をしのぶ会が15日、別府市内のホテルであった。同じ志を持つ友人や知人ら約110人が参列。芦刈さんの活動を振り返り、惜別の思いをささげた。
芦刈さんは臼杵市野津町出身。幼少期に筋ジストロフィー(筋ジス)を発症した。表現者としての才能を開花させ、詩集出版や講演などを通じて命の大切さを伝え続けた。
西別府病院内で療養。院内での「大分別府五行歌会」の設立に関わり、2019年からは代表を務めていた。35年にわたる病院療養中に一念発起し、21年に別府市で自立生活を果たした。その経験を生かして筋ジス患者ら障害者の社会参加や自立生活を啓発・推進し、全国の筋ジス病棟の生活向上などにも尽力していた。1月23日に亡くなった。
しのぶ会は芦刈さんの働くNPO法人自立支援センターおおいた(別府市)が発起人。県外の筋ジス患者なども出席した。
センターの後藤秀和理事長が「地域で生活した1年4カ月は、人生を凝縮したような期間だった。今日は彼と過ごした時間をみんなと共有したい」とあいさつ。父の芦刈幸巳さん(80)が「大勢の人に助けてもらって生きてきたんだとつくづく思った」と感謝の言葉を述べた。
詩作を勧めた恩師が芦刈さんの2年前の詩を紹介し「昌信君は自由になった。今日もここにいると思う」と献杯。西別府病院の主治医、ライフバディ(介助者)や長年の友人が「本当によく頑張った」「みんなにありがとうと伝えたいと思う」などスピーチした。
「地域移行」に向けた様子や自立生活を楽しむ動画、幼少からの写真を披露した。友人たちは芦刈さんの詩の弾き語りをした他、五行歌を朗読。好きだった店舗のラーメン提供もあり、笑いと涙のある穏やかな会となった。