高見沢俊彦の魅力 ♡ 永遠の “王子様” は THE ALFEE ブレイクの立役者!  4月17日は高見沢俊彦の誕生日!

高見沢俊彦、音楽と小説の “二刀流”

ミュージシャンには年齢不詳な人が多いけれど、そのキング・オブ・キングはこの人だろう。4月17日に誕生日を迎えたTHE ALFEE・高見沢俊彦だ。1954年生まれなので、今年で69歳。古希にリーチである。この人の場合、見た目だけでなく、創作意欲も衰えないのがすごい。しかも音楽だけじゃなく、小説も書くのだ。

高見沢は還暦のときに作家デビュー、長年の夢を叶えた。作家のときは「沢」が旧字体の「高見澤俊彦」になる。つい先日、第3弾小説『特撮家族』を文藝春秋から発表した。この作品、家族全員がヲタクで、本人いわく「大好きな特撮・怪獣映画・歴史モノなんかを全部詰め込んだ作品にしたいと思った」。小説執筆と音楽は「使う脳が違う」そうで、高見沢にとって、小説との “二刀流” は楽曲創りにおいてもいい影響を及ぼしているのだろう。

高見沢はサービス精神も旺盛で、メディアへの対応も、だいたい快く引き受けてくれる。以前、あるラジオ番組の企画で、“「メリーアン」の舞台はどこで、彼女はどんな女性なんですか?” という質問をFAXで送ったところ、

・花婿に逃げられた22歳
・夜露に濡れる森は、ドイツの黒い森のイメージ
・主人公は寄宿舎に通う17歳

―― とえらく具体的な回答が返って来て驚いた。

アーティストによっては「くだらんことを聞くな!」と怒りそうな質問だけれど、こうして丁寧に答えてくれた高見沢。私の中の「芸能界いい人ランキング」のトップクラスに位置しているのは言うまでもない。

先述の小説についても、PRのためにわざわざ神田明神に出向き、ヒット祈願会見を行ったというスポーツ紙の記事を見て「さすが、わかってらっしゃる!」と拍手してしまった。

高見沢俊彦が普通に会見をやったんじゃつまらない。神社に願掛けに行こうというのは、自分の役目がわかっている人間の発想だ。ちなみに、神田明神では同じ日に将棋の叡王戦が行われていて、藤井聡太を取材するため報道陣が多数詰めかけていた。「なんでタカミーがここに?」みたいな空気になっていたのが、またこの人らしい。 

来年デビュー50周年を迎えるTHE ALFEE

ところで、THE ALFEEは来年デビュー50周年を迎える。結成時は4人だったが、1975年から高見沢・坂崎幸之助・桜井賢の3人体制に。半世紀も一緒に活動していたら飽きが来そうなものだが、メンバーのキャラが見事に三者三様、お互いの趣味に干渉しないので、そこもバンドが長続きしている理由だろう。

しかし、ブレイクまではけっこう長かった。トークもライヴも面白いのに、レコードのセールスはなぜか伸びなかった。高見沢によると、THE ALFEEはそれぞれ「担当部署」があり、坂崎=「宣伝部」、桜井=「営業部」、高見沢=「制作部」だそうだ。「宣伝部と営業部はきちんと成績を残していたのに、僕だけ結果が出ていなかった」と言う高見沢。他の二人から突き上げを食らい、当時は痩せる思いで曲を書いていたという。

デビューから苦節9年、1983年に「メリーアン」でブレイクを果たしたとき「ようやく責任を果たせた」と胸をなで下ろした高見沢。しかしそれも束の間。レコード会社のディレクターが高見沢のもとにやって来て、こう言った。「次はどうする?」 「一発屋で終わるか、それとも10年続くグループになるか…… キミが書く次の曲に、すべてが懸かってるぞ!」…… 高見沢は再び、痩せる思いで曲を書くことになった。

「1曲だけで終わってたまるか!」と、とにかく「売れること」を念頭に置いて創った渾身の1曲が、次作「星空のディスタンス」である。高見沢がデビュー当時に書いたインストゥルメンタル曲をベースに、何度も何度も手直しを重ねて完成。この曲は初のオリコン1位を獲得する大ヒットになった。

2曲連続でヒット曲を書き、今度こそ本当にホッとしていた高見沢。ところが、再びディレクターがやって来てこう告げた。「次はどうする? 次が大事だぞ!」…… 高見沢いわく「無限に続く中間テストを受けているようだった」。そんな無間地獄をくぐり抜けて来たからこそ、THE ALFEEの今がある。

永遠の王子様、高見沢俊彦

今年2月、「オールナイトニッポン55周年記念」で55時間スペシャルが放送された。THE ALFEEも参加。坂崎幸之助が火曜1部を担当していた際、エンディングで流れていた「水曜日の朝午前3時」をスタジオで生演奏したのには感激した。この曲、高見沢の作品で、サイモン&ガーファンクルの「Wednesday Morning, 3 A.M.」にちなんでいる。番組終了時間が(日付が変わって)水曜の朝3時であることに引っ掛けていて、なんとも粋ではないか。

 Wednesday morning 3 o'clock

 ひとときの恋人さあなたのために 

 夢を語ろう――

高見沢俊彦はやはり、永遠の「王子様」である。

カタリベ: チャッピー加藤

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