【連載コラム】MLB全30球場を制覇 第22話!中地区の旅!守護神がいる野球場

澄み渡る青空。美しい芝。白球が奏でる音に、歓声が重なり合う。最高峰のプレーに心躍り、熱く盛り上がる場所。メジャーリーグ武者修行の旅でアメリカ中を飛び回り、全30球場を制覇したスポーツアナウンサー福田太郎が、あなたを「夢のボールパーク」にお連れします。MLBスタジアムの世界へ、ようこそ。

ガーディアンズ誕生

アメリカ北東部のクリーブランドにチームが誕生したのは、ア・リーグが発足した1901年のこと。1915年以降、長らく「インディアンス」の名で親しまれてきましたが、2022年から改名。「ガーディアンズ」として生まれ変わりました。

誰もが愛することができる名前にするために、街の象徴でもある「交通の守護神」から命名しました。球場近くの「ホープメモリアル橋」にたたずむ「ガーディアンズ・オブ・トラフィック像」は、交通安全を祈願して、四つ角で、それぞれに馬車・自動車・トラックなどを手にしています。

[守護神のご加護を!](

プログレッシブ・フィールドへ

中地区はMLBの中でも、球場が比較的近くにあるので、飛行機を使わずに旅に出られます。早速、シンシナティから高速バス「グレハン」に乗って出発です。

朝5時の日の出を眺めながら北へ。道行く景色からも、カントリーなオハイオ州のカルチャーも感じられます。クリーブランドまで、実に5時間。

街の景観に馴染む、黄土色の野球場が見えてきました。

一度「守護神」へご挨拶に行けば、川の流れとダウンタウン、スタジアムを一望できる美しい景色が、そこにあります。日々の交通安全に感謝して… Progressive Field! Nice to meet you!!!

Ballparkの楽しみ方

クリーブランドは、重工業で栄えてきた都市として知られています。五大湖の一つ「エリー湖」へと続く細い川には、タグボートに引かれ、作業場へとやってくる大きな船の姿も。

野球場は、街のあちこちで見られる「煙突」をモチーフにした縦長の白い照明やスタンド、鉄骨を組み合わせた外観など、地域のカルチャーを取り込みました。

[煙ではなく光を放ちます](

世界中で愛される映画「メジャー・リーグ」の題材になったのが「インディアンス」です。1989年に公開され大ヒット。3地区制がスタートし、中地区での戦いが始まった1994年。今のスタジアムに移転した年に、続編が公開されました。そこに登場したのが、とんねるずの石橋貴明さん演じる「タカ・タナカ」です。

映画と同じように勢い付いたチームは、翌1995年に41年ぶりのリーグ優勝。そこから2001年まで「455試合の入場券が連続して売り切れる記録」が生まれました。これを記念した永久欠番「455」がスタジアムに掲げられています。

ちなみに「タカさん」は今なお、メジャーリーガーたちの間でも大人気の存在です。映画の撮影地はミルウォーキーだったそうで名残はありませんが、チームの歴史は確かに野球場に刻まれています。

シンシナティから長い時間をかけてやってきたわけですが、地元の方にとっては何のその。同じオハイオ州のレッズとの一戦は「バトル・オブ・オハイオ」と呼ばれ、人気のカードだそうです。ニューヨークの「サブウェイ・シリーズ」やロサンゼルスの「ハイウェイ・シリーズ」と並んで、中地区にも仁義なき戦いがあるんです。

クレイジー・フード

彩り豊か過ぎるフードがあります。見た目のインパクトは、MLBスタジアムでも最強クラス。

「ハッピードッグ」が作る『スライダードッグ』です。ほぼ埋もれていますが、これ、ホットドッグです。マカロニアンドチーズとベーコンチップスを乗せて… 仕上げにアメリカの朝食でおなじみ「カラフルなシリアル」をドバッとかけて頂きます。このほのかな甘みが意外と合っちゃうんです。子供たちが笑顔で頬張る姿を見ると、こちらまで嬉しくなります。まさにハッピードッグの店名にふさわしい一品。ぜひ挑戦してみては?

[見た目とは対照的にイケる!](

===============

福田太郎(ふくだ・たろう)/ 1991年生まれ。HTB北海道テレビ放送アナウンサー。プロ野球の実況中継や、朝の情報番組MCを担当した後、2022年2月から11月まで休職。MLB全30球団・ボールパークを訪ね、世界最高峰のスポーツエンターテイメントを学び、12月に復職。写真:福田太郎

===============

© MLB Advanced Media, LP.