陸自ヘリ5人発見、不明10日、祈り届かず 住民「早く家族のもとへ」

 陸上自衛隊のUH60JA多用途ヘリが6日に宮古島沖で消息を絶ってから10日。不明隊員とみられる5人が16日、伊良部島北側の海中で発見された。5人のうち2人はその日で引き上げられ死亡が確認された。自衛隊などによる懸命な捜索活動を見守ってきた漁協関係者や地元住民からは「早く家族のもとに帰してあげてほしい」との声や残る隊員の早期発見を願う声が相次いだ。

 事故究明求める声も

 荒れ模様から打って変わって晴天となった16日、自衛隊による「飽和潜水」が始まった直後の午前8時30分ごろ、隊員とみられる5人が機体の一部とともに発見された。隊員の生存にわずかな望みを託していた宮古島漁協の栗山弘嗣さんは「残念だ」と声を落とした。遺体発見という最悪の結果になったが、「どのような状況でも家族のもとに帰るべきだと思っている。見つかっていない5人の早期発見を祈っている」と語り、残る5人の早期発見を願った。

 自主的に船舶の捜索に協力を続けた伊良部漁協。伊良波宏紀組合長(48)は「5人が見つかったことは良かったが、とにかく10人全員を早く見つけて、家族のもとに帰してほしい」と語った。伊良波さんによると、10日から14日にかけて伊良部漁協の多くの船が捜索に協力した。伊良波さんは「できる限りの協力はしたいが、燃料代などは全て自腹で組合員の生活もある。漁協として協力の呼び掛けはできないができる限りの協力はしていきたい」と語った。

 午後6時40分ごろ、自衛官2人を乗せた巡視船「はりみず」が平良港の旅客船バースに到着した。2人はその場で死亡が確認された。待機していた制服姿の自衛官らの手で自衛隊車両に移し替えられ、宮古島駐屯地に運ばれた。港での作業現場はシートで覆われ、外からは中の様子をうかがい知ることはできなかった。旅客船バースが見渡せる岸壁や駐屯地の入り口には多くの報道陣が集まった。

 自衛隊による捜索活動を池間島から見守っていた観光客の60代男性=岐阜県=は「技術的なことは分からないが、早く全員を見つけて家族のもとに帰してほしい。自衛隊も大変だと思うが、2次被害がないよう捜索に全力を挙げてほしい」と訴えた。遺体が運ばれた巡視船を見た釣り人の50代男性は「残念な結果となったが、見つかったのはせめてもの救いだと思う。自衛隊には早期発見と同時に事故原因も突き止めてほしい」と語った。

 (吉田健一)

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