【4月22日はアースデイ】子どもと一緒に考えたい“地球”のためにできること

4月22日はアースデイ。この日は「地球や環境について考える日」とされているということをご存知ですか? アースデイは「地球の日」ともいいますが、いったいどのような日なのか、知らない人も多いかと思います。そこで今回は、アースデイについて解説し、あわせてアースデイにまつわる絵本も紹介したいと思います。まずは難しくとらえずに、絵本を使って子どもたちと地球環境について考え、感謝することからはじめてみませんか。

アースデイ(地球の日)とは

毎年4月22日は、「アースデイ(地球の日)」です。東京・代々木公園で行われるアースデイのイベントに参加したことがある人もいるのではないでしょうか。アースデイは、アメリカで地球や環境のことを考える日として提案され、世界中に広まりました。近年、地球温暖化や海洋汚染問題が叫ばれるようになり、アースデイはより注目を集めています。

アースデイの由来

アースデイの考え方は、1969年にアメリカで起きたサンタ・バーバラ石油流出事故がきっかけとなり、環境破壊の懸念が高まったところから生まれました。このとき、アメリカのゲイロード・ネルソン上院議員は災害を上空から視察し、その規模に非常にショックを受け、環境破壊から地球を守る日をつくることを決意しました。

翌1970年、ネルソン上院議員は学生たちに環境問題の討論集会の開催を呼びかけました。呼びかけに応じたスタンフォード大学に通うひとりの学生が、「『母の日』や『父の日』があるのに『地球の日』がないなんておかしい!」と呼びかけ、4月22日という“なんでもない日”を「地球の日」としたのです。これがきっかけとなり、同年12月にはアメリカ合衆国環境保護庁が設立され、環境に関する法律も次々と制定されました。

インターネットのない時代にもかかわらず、アースデイは口コミで全米に、やがて世界中に広がりました。実は、日本の銀座で歩行者天国が始まったのも、自動車のボイコットとしてのアースデイのアクションがきっかけだったといわれています。毎年世界中の多くの人がアースデイに参加するようになり、アースデイは今や、世界最大の市民運動ともいえます。

2019年のアースデイでは、ジャスティン・ビーバーやアリアナ・グランデ、レオナルド・ディカプリオなど豪華アーティストが参加した動画「Earth(地球)」が公開されました。著名人も含め、世界中でムーブメントが起こり、みんなで地球環境に向き合おうと意思表示をする日となっているのです。

参考:アースデイ東京 ポータルサイトSpaceship Earth アースデイとは?

アースデイには何をするの?

アースデイには特別に決められたルールなどはなく、個人や企業がそれぞれの方法で、地球環境を大切にするきっかけとする日です。街のゴミ拾いをしたり、自動車ではなく自転車で通勤したり、買い物にはマイバッグを持っていったり、「環境のために何かしたい」と誰もが自由にアクションを起こせることもアースデイの特徴です。一人ひとりが、自由な発想のもと地球のために行動します。

アースデイが注目される理由

理由の1つに、近年環境問題が深刻化していることが挙げられます。とくに地球温暖化、海洋汚染、土壌汚染は深刻な問題です。メディアで取り上げられる機会も増え、最近ではSDGsという言葉をよく聞くのではないでしょうか? 環境に対する危機感を持つ人も増加したことで、アースデイに注目が集まっています。

地球温暖化

画像引用:気象庁「世界の年平均気温」

気象庁は、2022年の世界の平均気温は基準値より0.24℃高く、1891年の統計開始以来、6番目に高い数値になったと記録しています。グラフを見ると、1990年代半ば頃から高温となる年が多く、地球温暖化が進行していることがわかります。

世界自然保護基金(WWF)は、このまま地球温暖化が進むと、下記のようなリスクがあると指摘しています。

  • 海面が上昇し、一部の土地や国が沈む
  • 乾燥した地域で水不足が深刻化する
  • 異常気象による災害が増える
  • 生態系が変化し、生き物が消える
  • 森林火災が増える

参考:WWFジャパン「地球温暖化が進むとどうなる?その影響は?」

海洋汚染

人間が出すごみや排水によって引き起こされる海洋汚染も、非常に深刻な問題です。海洋汚染の主な要因は下記が挙げられます。海洋汚染が悪化すると、海や海辺が汚れるだけでなく、海で暮らす生き物が減ったり、私たちが食べる魚に有害物質が含まれたり、多方面への影響を引き起こします。

  • 生活から出るプラスチックごみ
  • 工場から出る排水
  • 船やタンカーなどから漏れた油
  • 生活排水

土壌汚染

土壌汚染は、有害な化学物質や排水などが土に蓄積されている状態を指します。工場から流れ出る有害物質や排水が主な原因となりますが、それらは土の中に蓄積されるため、目に見えず気づきにくいという危険性があります。

汚染された土の中で育てられた農作物を食べることで人体に影響がでたり、その土地の生態系への悪影響が引き起こされたりと、さまざまな面から問題があると考えられています。また、汚染された土壌から有害物質が気化して大気上に拡散する可能性もあります。

アースデイに親子で読みたい絵本

派手なアクションでなくとも、地球のためにわたしたちになにができるか、考える入り口として、ぴったりな絵本を2冊紹介します。我が家も小学2年生の娘と読んでみたので、その感想も紹介します。

『ONE WORLD たったひとつの地球 今この時間、世界では…』(フレーベル館)

はじまりは4月21日真夜中の12時1分前(そう、4月22日アースデーの前日!)、日付がかわろうとする瞬間に、ふたりの女の子が世界を巡る旅に出ます。

「午前1時の北極ではホッキョクグマのお母さんが子どもたちのためにアザラシを捕まえようとしているけど、毎年氷が溶けるのが早くなってきて獲物を取ることが難しくなっているみたい。午前10時のオーストラリアでは、焼けるような日差しのなか、オスのカンガルーたちが取っ組み合いのケンカをしている。この頃しょっちゅう山火事がおこるから、水飲み場がなくなってきているんだ…」。

そのほか訪れる世界中のいろいろな場所で起きたことは全て、少女たちが住んでいるイギリスで真夜中の12時を知らせる時計のかねが鳴っている間に起きたこと。地球環境は今、この瞬間にも変わっていること、そしてみんなで力を合わせて地球をいい方向へと変えるべきときが来たと作者のニコラ・デイビスは結んでいます。

可愛らしく美しいイラストながら、地球環境に及ぼす温暖化の影響、森林伐採、海洋汚染など、日付がアースデイに変わる瞬間に地球のあちこちで起きている問題を同時並列的に描き出しています。ページをめくると右回りで世界が進んでいくので、地球儀や地図帳を見ながら読むと、より「たったひとつの地球」を感じられておもしろい。

読んでみた小学2年生の感想

「これお勉強じゃん!」と言いながらも、可愛い絵からお話に引き込まれていた様子。「地球のためになにができると思う?」という問いに対して、以下の考えを教えてくれました。

  • 植物を育てる→「こんど小学校でミニトマトを育てるからちょうどいい♪」とのこと
  • まず目の前のゴミを拾う
  • 水を出しっぱなしにしない、水筒を持ち歩く
  • 電気をつけっぱなしにしない
  • ご飯を残さず食べる

どれもすぐに実行できることですが、まずは地球について知ること、考えること。それが「たったひとつの地球」を守る、小さな一歩になりますよね。

ONE WORLD たったひとつの地球

今、地球のほかの場所では、なにがおきているんだろう? 地球をぐるっとまわって、今この時間に、世界で何がおきているのか、見てみよう! 氷がとけてえものがとりづらくなっている北極のホッキョクグマ、木を切られ山の一部だけでくらす中国のテナガザル、山火事で水のみ場がへっているオーストラリアのカンガルー…… このしゅんかんにも、地球の環境の変化により、たくさんの動物たちに危機がせまっています。 地球について知ること、考えること。それが、地球上のすべての生きもの、そして「たったひとつの地球」をまもる一歩になります。

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『バーバパパのはこぶね』(講談社)

自然を満喫していたバーバ一家は、環境破壊によって汚れた水や空気に苦しむ動物たちに出会います。それを狙うハンターからも守るため、保護をして避難所をつくりますが、ついにバーバ一家と動物たちはロケットのはこぶねで地球を脱出。その後、人間たちは心を入れ替え、地球が緑色に戻ったことを見届けて地球に帰還します。1971年にオランダで出版されたこちら。50年も前の作品ですが、SDGsの問題がわかりやすく描かれています。なによりバーバパパたちの勇敢な行動がカッコいい! 我が家の子どもたちが大好きなバーバパパのシリーズでも、1、2番を争うお気に入り絵本です。

バーバパパのはこぶね

バーバ一家と動物たちがロケットで地球脱出 地球の空気や水がよごれて、動物たちが苦しんでいます。バーバパパたちは、動物たちを助けるため、ロケットの箱船をつくって宇宙へ飛び出しました。

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まとめ

環境汚染に加えて大型台風や酷暑など、近年の異常気象から、地球温暖化についてうっすら不安に思っていましたが、環境問題っていうとなんだか難しい気がしていました。そんなとき、絵本を介せばスムーズに考えられそうですよね。親子で地球や自然のことを考える、きっかけにできそうです。 地球と子どもたちの未来を想って、今できることをコツコツと。小さな力でも、みんなの力を合わせれば、大きな力になることを信じて♡ 4月22日のアースデイは、今年も各地の公園などでイベントが行われるようです。子どもと一緒にピクニックがてら出かけてみるのもいいかもしれません。 文/Ai Kano

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