「都心回帰」の移転 28年ぶり法学部を創立の地・東千田キャンパスへ 広島大学 地元は期待

広島大学は、法学部を創立の地・東千田キャンパスに移転し、16日、記念式典を開きました。かつての “学生の街” ににぎわいが戻ることに期待する声が聞かれました。

広島市中心部の交通を支え続けてきた「電車通り」…。広島大学法学部が2023年春、東千田キャンパスに移転しました。

セレモニーには、越智光夫 学長など約80人が出席し、新校舎の完成を祝いました。キャンパス移転に伴い、地上6階建ての研究棟が新築されました。

広島大学は、東千田キャンパスを法律に携わる人材を養成するための拠点と位置づけています。

かつての東千田キャンパスです。せまい敷地に校舎やグラウンドが密集している様子がわかります。広島大学は、十分な広さを持ち、教育・研究活動を豊かなものにと、キャンパスが東広島市に完全移転となりました。その後、千田町は、跡地の利用問題などもあり、学生街としてのにぎわいは失われていきました。

そして、28年の時を経て、大学創立の地に戻ってきました。

広島大学 越智光夫 学長
「法曹関係の拠点がたくさんあり、行政との距離も近くなる」

広島市には、弁護士などの法曹関係者が多いことや、法学部とすでに東千田にあった法科大学院を同じキャンパスにすることで、切れ目のない教育の充実などにつなげたい考えです。

大学のすぐ向かいにある「山陽スポーツ」です。創業75年、親子3代にわたり地元に寄り添ってきたといいます。

山陽スポーツ 小野本渉 さん
「(祖父・清人さんが)『この土地で商売ができないか。学生向けのスポーツ用品を販売したい』と考えていた。(学生の)たまり場になっていたと聞いている」

さっそく大学からの依頼で研究棟にある体育館に器材や道具などを搬入したそうです。

山陽スポーツ 小野本渉 さん
「学生に向けた部屋の販売も始まっていると聞いた。学生が増えるのは楽しみ」

大学から一番近い商店街。キャンパス移転前は、かつて100店舗ほど立ち並んでいましたが、今は様変わりし、周辺の住民の多くがファミリー層です。

千田通り商店街 湊賢一 会長
「 “千田町と広大の未来” を期待して、もっとにぎわう街に」

教育・研究の成果を社会に還元する―。大学は、企業や地域社会との連携を深めるための模索が続きます。

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