地域の変遷、本にまとめる 鹿沼・池ノ森地区の住民有志

池ノ森風土記を手にする高橋宏さん(右)と高橋進さん

 栃木県鹿沼市南部の池ノ森地区の住民有志9人が、昭和期以降の地域の歴史や生活文化の変遷などを「池ノ森風土記」としてまとめた。地区内の人口減少や高齢化が進む中、改めて地域についての記録を後世に残そうと、60~70代を中心とした9人が呼びかけ人となり4年がかりで完成させた。作製した150部のうち10部を地域学習などに役立ててもらうため池ノ森小に寄贈する。

 呼びかけ人の1人、高橋進(たかはしすすむ)さん(73)は「今を逃すと昔のことを話せる人がどんどんいなくなるという危機感があった」と話す。これまでに月1回会合を開き、地域住民への聞き取りや、写真などの提供を依頼するなど地道に準備を進めてきた。

 完成した池ノ森風土記はA4判76ページ。江戸期から令和に至る同地区を地図で比較したほか、昭和期の冠婚葬祭や特産品だったカンピョウ、ラッカセイなどの生産の様子などを写真で紹介。池ノ森小の児童数の変遷や学校生活の様子もまとめている。

 製作費捻出のため、寄贈分以外は1部千円で販売する。呼びかけ人として関わった高橋宏(たかはしひろし)さん(73)は「製作の過程では自分たちも学びがあった。住民や出身者だけでなく多くの人に池ノ森のことを知ってほしいし、記憶に留めていてほしい」と話している。

 (問)高橋宏さん0289.75.3666。

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