特殊詐欺被害を推計するAIモデル、東洋大学と富士通が開発 尼崎市の高齢者宅で検証へ

東洋大学と兵庫県尼崎市、富士通はカメラなど非接触センサーを使って特殊詐欺でだまされているかどうかを推計するAI(人工知能)モデルを開発した。今後、尼崎市の高齢者宅に非接触センサーを設置し、AIモデルの能力を実証する。

東洋大学によると、AIモデルは特殊詐欺を模した電話を聞いてもらう実証実験のデータを基に、カメラとミリ波センサーで呼吸数と脈拍数を測定し、特殊詐欺にだまされているかどうかを判定する仕組み。現時点で75%の精度が確保されているという。

高齢者には詐欺リスクを通知することでどんな状況下にあるか自分で確認できる。研究チームは事前登録した高齢者の家族らの携帯電話に警告通知することも想定している。

4月から尼崎市の高齢者宅に非接触センサーを設置して1年間のモニター実験を始めており、2024年度に尼崎市で社会実験を実施、AIモデルの能力と特殊詐欺の削減効果を検証する。

警察庁によると、全国で2022年に認知された特殊詐欺は前年を約3,000件上回る1万7,250件で、86.6%が65歳以上の高齢者を標的としていた。尼崎市では113件の特殊詐欺が認知され、被害額が前年の約2倍に当たる約1億9,000万円に達している。特殊詐欺の手口は複雑で巧妙化しており、高齢化社会の進行に伴い、新たな防御策の確立が求められていた。

参考:

【東洋大学】特殊詐欺被害者の騙された状態を非接触センサーを用いて推定するAIモデルを実現

© 大学ジャーナルオンライン