鏡獅子や尋牛 田中の代表作90点 井原、美術館再オープンで名品展

リニューアルした展示室に田中の代表作を並べた所蔵名品展

 日本近代彫刻の巨匠平櫛田中(井原市出身、1872~1979年)を顕彰する同市立平櫛田中美術館(同市井原町)の新館整備が完了し18日、リニューアルオープンした。田中の代表作を一挙に紹介する所蔵名品展も始まり、大勢の美術ファンが訪れた。

 新館は旧本館の大部分を生かした鉄筋コンクリート3階延べ約3600平方メートル。床面積は改修前の1.6倍に拡張し、六つの展示室のほか、市民らの芸術発表の場となる市民ギャラリーを設けた。

 名品展の第1期は「平櫛田中全館展示」と題し、木彫を中心に90点を展観。歌舞伎の迫力ある所作を捉えた代表作の「鏡獅子」は、六代目尾上菊五郎をモデルにした裸像や頭像を含め大小6点を並べる。

 幼子が手を伸ばす姿が愛らしい「幼児狗張子(いぬはりこ)」など壮年期の傑作や、「活人箭(せん)」「尋牛」といった禅を題材に深い精神性を備えた作品もある。福山市の男性(75)は「新しい展示室では作品がより生き生きとして見えます」と話していた。

 一般公開に先立ち同館で開館式典があり、大舌勲市長ら関係者がテープカットで祝った。第1期の会期は7月9日まで。

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