捜索令状なき立ち入り「違法」 大阪府に賠償命令、京都地裁判決

京都地裁

 大阪府警の捜査対象だった男性受刑者が、別の容疑で京都府警から家宅捜索を受けた際、大阪府警の捜査員が便乗し、令状を得ずに自宅に立ち入ったことで精神的苦痛を受けたとして、大阪府に慰謝料など110万円を求めた訴訟の判決が18日、京都地裁であった。植田智彦裁判長は、立ち入りは法的根拠がなく違法だったと認定し、府に3万3千円の支払いを命じた。

 原告は銃刀法違反などの罪で京都刑務所に服役中の50代男性受刑者。判決によると、2019年7月8日、大阪府警淀川署員が同法違反などの容疑で捜査していた男性の大阪市内の自宅付近で待機中、別の恐喝未遂事件で男性を捜査していた京都府警下京署員らと偶然遭遇。下京署員らが令状に基づいて男性の部屋を捜索した際に拳銃様のもの3丁を発見したため、淀川署員も入室して3丁を確認した。

 判決で植田裁判長は、両府警は別個の組織にもかかわらず、淀川署員は捜索令状を取得せず男性の部屋に入っており、男性の部屋で3丁を見つけた時点では本物の拳銃かどうかも不明だったと指摘。「立ち入りは警察官としての注意義務に違反する」として、警察官が令状なく捜索目的で住居に立ち入ることは許されないと結論づけた。

 大阪府警監察室は「判決内容を精査した上で今後の対応を決めたい」とした。

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