一目ぼれする1Wは？ 話題作13本を解説

飛距離と安定感の両立を図り、テクノロジーの進化が止まらない最新ドライバー。その一方で、過去も現在も変わらずにゴルファーが求め続ける要素――それが“顔”だ。アドレス時に上から見た際の“顔”で選びたいという声を受け、今春までに出そろった最新作13本を、クラブ設計家・松尾好員氏の解説付きで並べてみた。

シリーズ間の個性が明確に「ステルス2」

テーラーメイド「ステルス2 ドライバー」は、同シリーズ3機種の違いがあまり見受けられなかった前シリーズから、少し個性を明確化した中でのスタンダードモデルとなっています。やや縦長で1～2時方向の張り出しが大きく、トウ先に逃げ感があり、左につかまり過ぎないイメージが持てる、同社の典型的な形状を継続しています。

右ミスをカバーする「ステルス2 HD」

テーラーメイド「ステルス2 HD ドライバー」は、アドレスではスタンダードモデルよりフックフェースで、ライ角もアップライト、球を左に打ち出しやすい形状となっています。4～5時方向の張り出し感があり、ややつかまえるイメージも持てます。3機種の中で「HD」だけネックの長さが4分の1インチ短くなっている点も特徴です。

PGA主流の弾道イメージが持てる「ステルス2 プラス」

テーラーメイド「ステルス2 プラス ドライバー」は、形状はスタンダードモデルと似ていますが、ひと回り小さいサイズ感です。強めのオープンフェースとフラットなライ角で、球をつかまえ過ぎない顔立ち。現在の米ツアーの主流ともいえる“中弾道フェード”をイメージしやすく、3機種の中では浅重心で低スピン性能です。

適度なつかまりを演出「パラダイム」

キャロウェイ「パラダイム ドライバー」は、全体的に同社の特徴といえる丸みを帯びた形状です。オープンフェースで、ライ角はフラット、リアルロフトが小さく、球をつかまえ過ぎない感じが出ています。ただ、トウ側には逃げ感がなく、バルジ(フェース面の丸み)も少なめ、FP値(※)も小さいため、同時につかまり要素も感じられます。

※FP：フェースプログレッション。シャフトの中心線とリーディングエッジの距離を表した数値

つかまるオープンフェース「パラダイム X」

キャロウェイ「パラダイム X ドライバー」は、スタンダードモデルより横幅が広く、前作「ローグ ST MAX」に近い印象を受けます。オープンフェースですが、ライ角はアップライトで、リアルロフトもやや大きく、つかまりやすい形状。トウ側の逃げ感の無さ、バルジの少なさなど、スタンダードと同じつかまり要素は存在します。

兄弟モデルとは違う発想「パラダイム ◆◆◆」

キャロウェイ「パラダイム トリプルダイヤモンド ドライバー」は洋ナシ型形状で、同シリーズ他3機種とはかなり違う発想で開発されているようにうかがえます。オープンフェースとフラットなライ角、大きめのFP値で、つかまり過ぎないフェード弾道がイメージしやすい形状。小ぶりなサイズ感は、操作性にも特化しています。

「X」の小型版？ 「パラダイム MAX FAST」

キャロウェイ「パラダイム MAX FAST ドライバー」は、形状のイメージはほぼ「―X」に近いですが、ひと回り小さいサイズ感です。シリーズで唯一のフックフェースで、しかもアップライトなライ角やトウ側に逃げ感のない点、バルジの少ない点は「―X」と同じ。最大の特徴は軽量設定で、軽快に振りやすい仕上がりとなっています。

コブラの伝統的三角形状「エアロジェット」

コブラ「エアロジェット ドライバー」は、同社の伝統的な三角形状で、シャープなイメージが持てます。オープンフェースですが、トウ先には逃げ感がなく、バルジも少ないので、つかまり感が出ている設計。スタンダードモデルと「―MAX」は深重心による高慣性モーメント設計で、インパクト時の安定感をうながす構造となっています。

やさしさを味付け「エアロジェット MAX」

コブラ「エアロジェット MAX ドライバー」は、スタンダードモデルと同様に、伝統的な三角形状ですが、ひと回り大きく、安心感を抱けるサイズ感です。スタンダードモデルよりややフックフェース、ややアップライトで、球のつかまりを連想させます。後方が低いシャローバック形状で、アッパー軌道をイメージしやすい構造です。

縦長フォルムのハイバック「エアロジェット LS」

コブラ「エアロジェット LS ドライバー」は、スタンダードモデルや「―MAX」とは違い、少し縦長なフォルムが特徴です。スクエアフェースですが、ライ角がフラットで、トウ側に逃げ感があり、つかまり過ぎないイメージ。ヘッド後方が高いハイバック形状で、レベル(平ら)軌道で分厚いインパクトを生みやすい構造といえます。

“和顔”なつかまり系ヘッド「ST-X 230」

ミズノ「ST-X 230 ドライバー」は、横幅が広めながら、形状は基本的な丸型で、4～5時方向の張り出し感がある“和顔”のつかまり系ヘッドです。スクエアフェースですが、ライ角がかなりアップライトで、球のつかまり感もイメージできます。高さを出しやすいシャローバック形状で、アッパー軌道で振りやすい構造となっています。

海外市場を意識した「ST-Z 230」

ミズノ「ST-Z 230 ドライバー」は、「ST-X」に比べて横幅が少し狭く、1～2時方向の張り出し感があり、やや縦長に見えます。ライ角は標準的ですが、国内モデルとしては強めのオープンフェースで、海外市場を強く意識している印象を受けます。「ST-X」と同様に、バルジが美しく形作られている点も同社の特徴といえます。

特徴は見た目以上の軽さ！？「TSR1」

タイトリスト「TSR1 ドライバー」は、オーソドックスな丸型形状で、同「TSR」シリーズの中ではシャローフェースな点が特色です。海外モデルらしいオープンフェースでややアップライト、FP値の小さいグースネック設定で、つかまりやすさを演出。「パラダイム MAX FAST」と同じ軽量設定で、見た目以上の軽快さが特徴です。

投影面積&フェース角でグラフ化

今回の13本を投影面積（縦軸）とフェース角（横軸）でグラフ化。単純に「投影面積」が大きければ、構えたときの安心感に。逆に小さければ、操作性の高さにつながる。「フェース角」はつかまりやすさを把握する指標に。最新ドライバーの購入を検討する際に参考にしていただきたい。