古座街道80キロ踏破へ 全8回のウオーク開始

「古座街道踏破ウオーク」でルート沿いにある観音寺を訪ねる参加者ら(和歌山県上富田町生馬で)

 和歌山県串本町の南紀串本観光協会は16日、上富田町朝来をスタートし、串本町古座を目指す「古座街道」の踏破ウオーキングを始めた。来年3月ごろまでに全8回で計約80キロを歩くイベントで、現在の観光協会になってからは初めての開催。参加者はガイドから地域の歴史などについて教わりながら新緑の古座街道を歩き「頑張って踏破したい」と意気込んでいた。

 古座街道は江戸時代から明治中期まで田辺と古座を最短距離で結ぶ街道として、行商人の往来や西国巡礼などに活用された。街道沿いには寺社や石仏なども多く、一部では石畳も残る他、沿道の渓流や奇岩、里山風景など変化に富んだ街道歩きが楽しめる。司馬遼太郎の「街道をゆく」シリーズでも紹介されており、土道の残る箇所が2019年に文化庁の「歴史の道百選」に選定された。

 南紀串本観光協会によると、このウオークは、串本町にあった二つの観光協会などが2018年に統合して現在の観光協会になる前の旧古座観光協会が7年ぐらい前までに2回開催。今回、「ファンも多いことから改めて魅力を発信したい」として統合後初めて開催することにしたという。

 踏破ウオークの第1回には、田辺市と上富田町、串本町から、キャンセルもあったため7人が参加。古座街道や熊野古道大辺路の保全に取り組んでいる「熊野古道大辺路刈り開き隊」の隊長も務めている上野一夫さん(74)=串本町中湊=がこの日のガイドを務め、参加者は今回のコースが示された木札を受け取ってJR朝来駅を出発した。

 この日のゴールは上富田町生馬にある鳥渕神社。参加者は途中、櫟原神社や圓鏡寺、彦五郎公園、「さつき寺」として知られる観音寺などに立ち寄り、上野さんらの説明を受けながら古座街道歩きを満喫。友人と参加した田辺市の女性(58)は「以前から古座街道を通しで歩いてみたいと思っていたので、良い機会だと思って申し込んだ。頑張って踏破したい」と笑顔を見せた。

 踏破ウオークの定員は毎回10人で、観光協会では第4回(10月14日)まで募集しているが、すでにキャンセル待ちの状態。観光協会の担当者は「以前から開催したいと計画しており、今回約7年ぶりに開くことができた。初回から上期分全てが予約の定員に達し、感謝の気持ちと同時に改めてファンの多い街道と感じた。今後も街道を歩くだけでなく、ガイドの話を聞いて歴史も感じてもらいたい」と話している。

 第5回以降の募集は10月ごろを予定しているという。

ウオークの参加者には歩いたコースが分かる木札が提供された

© 株式会社紀伊民報