<社説>教員不足続く 未配置ゼロ目指し改革を

 新年度に入っても学校現場で教員不足が続いている。学校や学級への教員未配置があってはならない。未配置ゼロを目指し、学校現場の働き方改革を推進してほしい。 県内の公立学校で23人の教員不足が生じていることが分かった。内訳は小学校6人、中学校13人、高校3人、特別支援校1人である。不足しているのは専科教員などで学級担任の未配置はなかった。

 2022年4月時点では64人の教員不足が生じていた。その後、欠員が増加し、今年1月時点の教員不足数は135人に上った。担任を置くことができない学級もあり、深刻な教員不足に陥っていた。

 昨年4月時点と比べれば、確かに教員不足数が減った。県教育委員会による臨時的任用教員の掘り起こしなどの取り組みが奏功したと考えられる。教員不足に悩む学校現場の窮状を訴える現職教員の地道な活動も、教員確保の力となったであろう。

 しかし、本来ならば全ての学校に定数通りの教員が充足されるべきだ。昨年同時期より不足数が抑えられたからといって安心できる状況ではない。新年度に入った時点で教員が足りていないこと自体、異常だと考えるべきである。

 現時点でも県基準より多くの児童生徒を受け入れることで急場をしのいでいる学校もある。年度末に近づくにつれ、欠員が増えていく傾向にある。そのことを見越した対応が急がれる。

 教員不足のため、県独自の少人数学級編成(小1.2年は30人、小3~中3が35人)が維持できなかった学校も27校あったのは残念だ。児童生徒、教員の双方にとって望ましい教育環境を目指す取り組みを中断させてはならない。

 県教委は教員不足の要因について特別支援学級の増加や教員のなり手不足を挙げている。教員の病休が多いことも見逃してはならない。

 昨年12月に発表された文科省の調査によると、県内の精神疾患による病休者は21年度199人で、過去10年間で最も多かった。在職者数に占める病休者の割合は全国で最高の1.29%である。病休者が出ると他の教員に業務負担が及び、さらに疲弊する者が増えるという悪循環を生む。

 なぜ、教員のなり手が少ないのか。全国最高の割合で精神疾患による病休者が出る原因は何か。これらの課題に取り組まない限り、教員不足の問題は解消しない。魅力があり、健康で働くことができる職場づくりのため、抜本的な学校現場の働き方改革が求められる。県教委が4月に設置した働き方改革推進課を軸に対策を急いでほしい。

 教員不足の問題は学校だけの問題ではない。家庭や地域にとっても重大な関心事である。この問題に対する理解を深めてもらうためにも学校現場の実情に関する情報発信も必要であろう。問題意識の共有と活発な議論を通じて教員不足の解消策を見いだしたい。

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