ナチスと戦った不死身の男の物語。映画『SISU』 4/28から全米公開

By 「ニューヨーク直行便」安部かすみ

(c) SISU

この最強の目力よ。

個人的にバイオレンス映画や戦争映画はあまり好きではない。なので期待もほどほどだったが、この作品は自分の想像を超え「息もつかせぬ面白さだった」が率直な感想。

フィンランド映画『SISU』。

不死身の初老の男、そして土壇場でウーマンパワーを発揮する女たちの物語。

時は1944年の第二次世界大戦中の後期、フィンランドの荒野。

戦争でナチスに家族を殺された孤高の男は、金鉱でついに金塊を見つける。そこにナチスの軍隊が男を無残に殺そうと襲ってくる。だが男はなかなか死なない。

絶体絶命の大ピンチの連続。最後は乗っている飛行機まで墜落の危機に。

ヒヤヒヤしながら「自分だったらこんな状況に追い込まれてどうするかな?」と考えながら観るうちに、映画の世界にどっぷりと引き込まれていった。

陰惨なシーンの連続で、ナチスがどんなことをしてきたかを知りたい人、『ベルセルク』や『北斗の拳』などアクション系が好きな人はおそらくこの映画を気に入るだろう。

戦争映画だが、サウンドや映像美も注目。悲惨で野蛮なシーンの連続に対比したカメラワークと映像の美しさよ。映像を学んでいる学生もこの映画から学ぶことはある。

ニューヨークでの試写会は、マンハッタンのDolby 88で開かれた。野蛮なシーンの連続に声を失う筆者だったが、周りのニューヨーカー(プレスの人たち。映画関係者か?)の「あぁ…」とか「やった!」など思わず声が漏れ(時に笑いも)、そんなリアクションも興味深かった。

日本での公開予定は不明だが、アメリカで好評となれば日本公開も近いのでは。


SISU

Only in Theaters on April 28, 2023

主演:ヨルマ・トンミラ(Jorma Tommila)

監督&脚本:ヤルマリ・ヘランダー(Jalmari Helander)

プロデューサー:ペトリ・ヨキランタ(Petri Jokiranta)

91分、R指定

Text by Kasumi Abe 無断転載禁止

© 安部かすみ