統一地方選 茨城県内議員定数、合併前の半分 改選12市 住民4500人に1人

統一地方選として23日に投開票される茨城県内12市議選の議員定数は、平成の大合併前に比べ、ほぼ半減となった。合併後も人口減少や財政事情などを背景に削減が進み、議員1人がカバーする住民の数は平均約4500人に増えている。専門家からは「多様な議論を交わすには、安易な削減は避けるべき」と慎重さを求める声もある。

平成の大合併は2005~06年にピークを迎え、県内83市町村が44市町村に再編された。12市はこれ以前は25市町村だった。茨城新聞の集計によると、12市の再編前の議席は計522あり、07年統一地方選では計311まで減少。その後も段階的に削減され、今回の改選では計266となった。

07年以降、定数が減少したのは12市のうち11市。最も減ったのは、6減の日立(定数24)▽古河(24)▽常総(20)▽行方(18)の4市。次いで4減が土浦(24)▽石岡(22)▽龍ケ崎(22)の3市。3減が結城(18)。2減が水戸(28)▽鹿嶋(20)▽筑西(24)の3市だった。

07年から定数が変わっていないのは牛久(22)のみ。同市議会事務局は「これまで人口が増加傾向から横ばいで推移していたため、議論にならなかったようだ」と指摘。「減少局面に移ることになれば、議論に上る可能性はある」とみている。

今回の改選で定数が減るのは日立と常総の2市で、ともに11年の改選以来12年ぶり。各議会で「急激な人口減少や超少子高齢化の進展、社会環境の変化」(日立)、「近隣市の状況や人口との割合」(常総)などを理由に議論を交わし、可決した。

一方、削減に慎重な議会もある。筑西市議会では18年、定数を24から22に削減する条例改正案が出されたが、「行政のチェック機能が間に合わず、目が届かないこともあり得る」などとして否決した。

各市の人口は減少傾向にあるものの、定数削減が進んだことで、議員1人当たりの住民数は増加。今回の改選に伴う12市議会の平均は約4500人で、07年から約400人増えた。

一方、選挙戦での競争率は1.2倍前後で推移しており、変わっていない。定数が減っていても議員のなり手は増えていないのが現状といえる。

茨城大の佐川泰弘副学長(政治学)は「社会が多様化する中、政策に対し、さまざまな意見を戦わせるのが議会の役割。人口が減少しても、機械的に定数を減らすべきではない。どうしたらなり手が増えるかなどを考え、中長期的に人口に見合った定数を見極める必要がある」と指摘する。

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