離島留学の支援拡充を 長崎県、生徒死亡受け検討委

離島留学制度について協議した委員会=県庁

 長崎県の離島留学制度の課題を考える「これからの離島留学検討委員会」の第1回会議が20日、県庁であった。不登校などさまざまな事情を持つ生徒を受け入れる一方、下宿先の里親が少ない現状を踏まえ、委員からは支援の拡充を求める声が上がった。
 同委員会は、県立壱岐高に在席した茨城県出身の男子留学生(17)が行方不明となり死亡したことなどから設置。有識者や県幹部、対馬、壱岐、五島3市の市長・教育長ら計13人で構成し、県立大の本田道明学長補佐が委員長に就いた。
 同制度開始から20年間で実施高校数は3から5に増加。これまでに計1129人が入学した。同委員会事務局の県高校教育課によると、このうち2018年度から3年間の269人の状況をみると、23%の62人が学校生活への不適応などを理由に途中で転校または退学。中学時代に欠席が50日を超えていたのは約21%の58人を占めた。里親は31戸で「入学希望者に対して少ない」という。
 同日の会議では、こうした課題を共有。今後検討する内容を協議した。委員からは、研修など里親をフォローする体制をつくるほか、親と一緒に移住する形での制度拡充も検討すべきといった意見が挙がった。長崎大教育学部の内野成美副学部長は「子どもたちがどのような背景で離島留学を選択したかなどの個別に実態を把握する必要がある」と述べた。
 終了後、中﨑謙司教育長は「子どもたちや里親のSOSを早くキャッチし、対応できる体制を整えていくのが必要だ」と話した。次回は同課などが留学生、里親、保護者、学校を対象に今月実施するアンケートを基に協議する。

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