【2023年】メルセデス・ベンツ 新型Aクラスの価格やボディサイズ、燃費など最新情報をお届け|貴重なセダンとハッチバックを設定

メルセデス・ベンツのAクラスは2018年に発売され、2023年2月にマイナーチェンジを受けました。ボディタイプはセダンとハッチバックが設定されており、国産セダンが減っている現在では貴重なコンパクトセダンとなります。今回は新型Aクラスの価格やボディサイズ、燃費などをカーライフ・ジャーナリストの渡辺陽一郎さんが解説します。

メルセデス・ベンツ A200d メルセデス・ベンツ A200d

新型Aクラスのおすすめポイント

・ステアリング操作に対する反応が正確で、走行安定性が高い

・コンパクトなサイズのセダンは貴重

・ディーゼルは動力性能に余裕があり、燃料代も安い

新型Aクラスのレビュー・評価

総合評価 4.0 ★★★★☆

5段階採点の解説

外観

外観ではフロントマスクやバンパーのデザインを際立たせました。

内装

インパネの見え方も新鮮です。メーターとインパネ中央の液晶画面が繋がり、ワイド感を強調しました。ステアリングホイールは、下側が水平になったD字型です。

運転席は上下調節が可能ですが、手足を少し伸ばし気味に低い位置に座ります。

座り心地は少し硬いですが、腰の抑え方は良く、長時間の運転でも疲れにくいです。上半身も左右に揺すられにくく、峠道の走りにも適しています。

後席は、全長が4400mmを超える5ドアハッチバックとしては、足元空間が少し狭いです。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は、握りコブシ1つ半です。

コンパクトカーのホンダ フィットは、同じ測り方で握りコブシ2つ半ですから、Aクラスはもう少し広げて欲しいところです。

着座位置も低めなので、腰が落ち込んで膝は持ち上がります。それでも後席に座る乗員の足が前席の下に収まりやすく、4名乗車は可能ですが、購入するなら居住性を確認しましょう。

新型Aクラスには、5ドアハッチバックに加えて、ボディの後部に独立したトランクスペースを備えるセダンも用意されます。

先進装備

先進装備としては最新型のMBUXを採用しています。ボイスコントロール機能が備わり「ハイ、メルセデス」と呼びかけると起動します。音声認識機能は、カーナビの目的地入力、エアコンの作動、照明など多岐にわたります。

走行性能

1.4Lガソリンターボエンジン, 2Lクリーンディーゼルターボエンジン
1.4Lガソリンターボエンジン, 2Lクリーンディーゼルターボエンジン

新型Aクラスのエンジンは、直列4気筒1.4Lガソリンターボと、2Lクリーンディーゼルターボです。

ガソリンターボは最高出力が136馬力(5500回転)、最大トルクは20.4kg-m(1460〜4000回転)ですので、動力性能は2Lのノーマルガソリンエンジンと同等です。

パワフルではありませんが、実用回転域の駆動力に余裕があり、運転しやすいです。吹き上がりも自然な印象です。ガソリンターボには7速ATを組み合わせて、エンジンパワーを有効活用できます。

クリーンディーゼルターボは、最高出力が150馬力(3400〜4400回転)、最大トルクは32.6kg-m(1400〜3200回転)で、実用回転域を中心に駆動力が高いです。吹き上がりはガソリンに比べて鈍いですが、シフトアップは4000回転以上で行われ、ディーゼル特有の重い回転感覚はありません。ディーゼルの粗いノイズは、2000回転を下まわると少し聞こえますが、煩わしい印象はないです。

運転のしやすさ

走行安定性は、メルセデス・ベンツらしさを最も強く感じさせるところです。カーブへの進入で、ステアリングホイールを回し始めた時から、車両が正確に進行方向を変えます。機敏でも穏やかでもなく、ちょうど良い反応です。

峠道を走る時でも、旋回軌跡を拡大させにくく、車両をしっかりと内側へ向けます。その一方で後輪が前輪以上に踏ん張るため、挙動が不安定になりにくく、常に安心して運転できます。

またステアリングホイールを握る手のひらを通じて、路面の状況が伝わってきます。このように車両がドライバーの操作に正確に反応して、走行状態も分かりやすいと、街中から峠道、高速道路まで安全な運転が行えます。なおかつ車両との一体感も得られるため、運転が楽しく感じられます。

メルセデス・ベンツ、BMW、レクサスなどのプレミアムブランドは内装も上質ですが、突き詰めると、操舵感と走行安定性の高さが魅力です。

乗り心地

乗り心地もプレミアムブランドの価値ですが、この点は注意が必要です。新型A180は乗り心地が少し硬く感じられるからです。特に時速40km以下で、舗装の荒れた場所を通過すると、細かな路上のデコボコを伝えます。この傾向は、同じ新型Aクラスでも、5ドアハッチバックよりセダンの方が顕著に感じました。

速度が上昇すると乗り心地が快適になるため、高い速度域に重点を置いて足まわりを設定していますが、都市部に住んでいると低い速度で走る機会も多いです。購入する時は、販売店の試乗車で街中をゆっくりと走り、乗り心地を確認しましょう。

良かった点

・ステアリング操作に対する反応が正確で、走行安定性も高い

・ディーゼルは動力性能に余裕があり、燃料代も安く収まる

気になった点

・街中では乗り心地が硬めで、後席は足元空間が狭い

・日本車に比べると、価格は100万円以上の上乗せになる

新型Aクラスの基本スペック・価格表

メルセデス・ベンツ、BMW、レクサスなどのプレミアムブランドは、上質なクルマ造りが特徴です。予算に余裕があれば購入したいですが、全般的にボディの大きなクルマが中心です。

そこで注目されるのがメルセデス・ベンツ Aクラスです。現行メルセデス・ベンツAクラスは2018年に発売され、2023年2月にマイナーチェンジを受けました。今回は最新の改良型である新型Aクラスを試乗しました。

新型Aクラスの価格はハッチバックでガソリンのA180が498万円、ディーゼルのA200dは558万円です。セダンのA180は505万円、A200dは570万円です。

ディーゼルはガソリンに比べて60〜65万円高いですが、運転席と助手席の電動調節機能やナビゲーションなども加わり、エンジン単体の実質的な価格アップは30万円前後です。

新型Aクラスのボディサイズ

5ドアハッチバックのボディは、全長が4430mm、全幅は1800mmに収まり、全高も1440mmなので立体駐車場を使いやすいです。最小回転半径も5mとあって、小回りの利きも良好です。

街中は混雑していて、ショッピングセンターなどの駐車場にはスペースの狭いところもあるため、運転のしやすさを考えると全幅は1800mmが限界でしょう。

全長は4600mm以下に抑えたいです。内外装などのクルマ造りが上質なプレミアムブランドで、このサイズに収まる車種はないでしょうか。

新型Aクラスの燃費

ディーゼルは動力性能が優れ、WLTCモード燃費も、ガソリンの16.4km/Lに対して20.4km/Lに向上します。

しかも軽油の価格は、プレミアムガソリンに比べて1L当たり30円ほど安いため、車両価格が高くてもディーゼルを推奨します。

新型Aクラスの発売日と納期の目安

販売店によると「新型Aクラスの納期は約6か月」とのことでした。日本車を含めて短い部類に入ります。

Aクラスのカラーバリエーション

ローズゴールド

新型Aクラスのライバル比較

ボディタイプは、セダンが10万円前後高いですが、5ドアハッチバックとの価格差としては少ないです。

外観の好みや荷物を積む用途に応じて選べば良いですが、このサイズのセダンは前述の通り日本では貴重です。

なおレクサス CT200hが生産を終えた今、新型Aクラスは日本車のライバルを選びにくくなっています。

最も性格が近い車種は、ホンダ シビックe:HEV(ハイブリッド)でしょう。カーナビやBOSEプレミアムサウンドシステムなどもフルに標準装着して、価格は394万200円です。

メルセデス・ベンツ 新型Aクラスは、最も安価な仕様でもシビックに比べてさらに約100万円高いです。

新型Aクラスを買う時は、国産の5ドアハッチバック、輸入車ではフォルクスワーゲン ゴルフなども試乗して、その価値を判断しましょう。

【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:メルセデス・ベンツ日本】

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