自治会ごとの防災マップを作成 身近な情報を地図に盛り込む 災害時の行動イメージしやすく うるま市、ファイルにして全世帯に配布

 【うるま】うるま市と市内の自治会員で組織する自主防災組織が協力して、自治会ごとの防災マップを作成し、ファイルにして全世帯に配布する取り組みを始めた。より住民に密着した情報を記載し、日常使いしやすいファイルにすることで、日頃から災害への備えを促すことが狙いだ。

 市の危機管理課は災害時の共助を推進するため、2021年度までに市内の自治会による、61の自主防災組織を結成した。防災マップファイルの取り組みは組織活動強化の一環。市ではこれまでも防災マップや備品のリストなどを冊子にまとめて配布していた。しかし「防災マップが広範なため見にくい」「本棚に紛れ込み、目につかない」などといった課題もあった。

 今回作成したのは市内の低地帯に当たる30の自主防災組織の地域。既存の防災マップを基に各自治会ごとの拡大版を作った。市と自治会長らで相談を重ね、スーパーやコンビニなど目印になる場所を記載。地元の建物や公園の写真も追加し、それぞれの自治会オリジナルのマップに仕上げた。3月時点で19の自主防災組織が住民に配布している。

 宮前区の町田宗康自治会長は地域や住民の特徴に合わせて工夫を凝らした。宮前区は海抜5メートルの地域で海と川に挟まれるように位置している。また、高齢者が住民の3割を占める。津波を想定した場合、海抜が高い位置にある避難所までは高齢者の足では遠い。そのため近くにある高い建物の写真と「高い所へ避難しましょう」との言葉を記載した。「災害時の準備や行動など、住民に意識付けできるといい」と期待した。

 宮前区に住む女性(61)は「ファイルは普段使いできる」と積極的に生活の中で使っている。60代の夫と2人暮らしで夫は腰が悪い。災害時の避難に不安を感じていた。防災マップファイルを見て「津波が来たらここに逃げようと決めることができた」と災害時の行動のイメージがついた。

 企画部危機管理課の座喜味達也課長は「ファイルを利用して災害時を常に意識し、日頃の備えをしっかりしてほしい」と活用を促した。

 (金盛文香)

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