上流目指し若アユ跳ねる 古座川の名勝「滝の拝」、和歌山

「滝の拝」の魚道を跳ねる若アユ(和歌山県古座川町小川で)

 和歌山県古座川町小川にある県の名勝・天然記念物「滝の拝」にある魚道で、上流を目指す若アユが次々と跳びはねている。七川ダム(古座川町佐田)より下流の本流と支流を漁場としている古座川漁協は「今年はかなり遡上(そじょう)が活発で、今後が楽しみ」と話す。同漁協管内のアユ釣りは6月1日に解禁する。

 若アユは、餌となる藻類が豊富な古座川の支流・小川の上流を目指し、落差約8メートルという滝の脇に人工的に造られた階段状の魚道をジャンプしている。

 18日午後には写真愛好者も見守る中、大きいものでは全長15センチほどありそうな若アユが、次から次へと急流をジャンプ。流れの脇ではアユがひしめき合っており、勢い余って魚道から岩場に飛び出してしまうものもいた。上ってくるアユを狙い、待ち構えるアオサギの姿も見られた。

 仲間と撮影に訪れていた那智勝浦町北浜3丁目の楠本憲平さん(77)は「以前から来たいと思っており、今年ようやく念願がかなった。若アユの生命の躍動に感動した。2日間で3千枚ほど撮影したので、チェックするのも一苦労」と笑顔。

 古座川漁協の大屋敏治組合長(66)は「滝の拝での遡上は水量や気温にもよるが、例年だと5月中頃まで見られると思う。今年はかなり滝の拝での遡上が活発になっているという情報があるし、天然遡上の量自体も昨年より多いようだ。元気に遡上して大きく成長し、古座川を訪れる多くの釣り客を楽しませてほしい」と話している。

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