チェーンのプロが実演!本当に正しいバイクチェーンのメンテナンス方法を解説

【brand pickup】

エンジンの出力をロスなく後輪に伝えるためには、チェーンのコンディションが非常に重要だ。

チェーンのピンとブッシュの間にグリスを封入し、長期に渡り潤滑性を確保できるシールチェーンだが、ノンシールチェーンと同じようにクリーニングや注油が必要となるのは間違いない。

シールチェーンにクリーニングや注油が必要な理由

路面に近いところに位置するチェーンは、路面の砂利やホコリで汚れやすく、汚れをそのままにしておくと汚れが研磨剤のように働いて、摩耗が促進されてしまう

チェーンを常にキレイに保つことは摩耗抑制につながるのだ。

また、シールチェーンのピンとブッシュの間は常時潤滑されているものの、ローラーとブッシュの間は密閉されていないので、定期的な注油が欠かせない。注油を行うことでローラーとスプロケットの潤滑を図ることもできるのだ。

同時に、ゴム製のシールリング外側にチェーンルブを塗布しておくことで、直射日光による劣化を防ぐ効果もある。

チェーンのメンテナンスは最低でも1000kmごとに実施!

チェーンのメンテナンスは500kmごとに行うのが理想的だが、難しい場合には少なくとも1000㎞ごとに実施したい。

チェーンのメンテナンスタイミングが早ければ、汚れも軽微なので作業が短時間で済むというメリットもある。

また、雨天走行後は雨で油分が流れてしまうので、すぐに注油が必要だ。

砂浜を走ったり、融雪剤が撒いてある道路を走った時は、チェーンだけでなく車体下回りを中心にしっかり水洗いしてからチェーンの注油を行う。

チェーンのプロが教える正しいチェーンメンテナンス

正しいチェーンのメンテナンスを教えていただいのはRKジャパン(アールケー・ジャパン)の西貝さん

「タイヤを浮かすためのスタンドアップがハードルになるかもしれないですが、チェーンのメンテナンス(清掃・注油)は単なる拭き掃除なので、初心者の方にもかんたんにできますよ」と西貝さん。

西貝さんは用品店の店頭やイベントブースなどで、一般ユーザーのバイクのチェーンメンテナンスを出張で行っている。その台数は年間約100台以上にのぼる。

チェーンケミカルの注意点

RK純正メンテナンスセット 3410円(税込)

シールチェーンには必ずシールチェーン専用のケミカルを使用するのが重要だが、一部のケミカルの中にはパッケージに「シール使用可」と表記があっても実際にはシールに悪影響を与える商品が存在する。

そこでRKでは間違いなくシールに悪影響の出ない車両メーカー純正指定品やチェーンメーカー純正品の使用を推奨している。

今回はRK純正チェーンクリーナーとRK純正チェーンルブを使用した。

RKのケミカルはこちら## チェーンメンテナンス時はリアホイールをフリーに

チェーンメンテナンス時はメンテナンススタンドorセンタースタンドがあると作業しやすい。

チェーンのプロが教える正しいメンテナンス手順【#チェーンメンテ 】

チェーンのクリーニング時は走行後間もないタイミングが吉

走行直後はチェーン温度が上がっていて、油汚れが落としやすい状態になっている。そのため、クリーニングは走行後が適している。

RK JAPANのホームページはこちら## プロが教えるチェーンの正しいクリーニング方法【#チェーンメンテ 】

チェーンに直接クリーナーを吹き付けると、ローラーとブッシュの隙間にクリーナーが入り込んでしまい、その上からチェーンルブを吹き付けると、ルブがクリーナーと混ざって希釈されてしまう

そうなると、走行時にルブが飛び散ってしまって潤滑効果が低下するし汚れるので、クリーナーはウェスに吹き付けて使用するのが効率的だ。

直接チェーンにクリーナーを吹き付けるのは、よほど汚れが酷かった場合に限られ、その場合、クリーナーが乾燥するまで2~3時間置いてから注油を行う。

STEP

折りたたんだウエスに3~4秒チェーンクリーナーをスプレーする。

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クリーナーが染み込んだウエスでチェーンを握って、リアホイールを回し、チェーンの汚れを拭き取っていく。

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手の平の油分をタイヤに付着させないように、拳を握ってタイヤを回転させると良い。

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チェーンの両サイドを握って2周程度、次に上下を握って2周程度。たったこれだけでクリーニングは終了!

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チェーンがぶれて握りにくい際は、スプロケットの部分で掴むようにするとしっかり握ることができる。

チェーンのプレートとプレートの隙間の汚れが気になる時には……

プレート間の汚れが気になる時には、柔らかいナイロンブラシに直接クリーナーを少量スプレー。

汚れをブラシで落として、ウエスで拭き上げればOKだ。

ブラシが無い場合はウェスを折りたたんで折り目の部分で拭き取っても良い。

プロが教えるチェーンの正しい注油方法 【#チェーンメンテ 】

チェーンクリーナーをウェスに吹いてクリーニングを行えば、乾燥のための待ち時間なく注油を行うことができる。

STEP

チェーンルブはチェーンに直接スプレーするので飛散防止のために、チェーン周辺をマスキングしておくと良い。

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チェーンオイルは吹付け前に缶をよく振って撹拌させる。最低でも5秒くらいはしっかり振ろう。

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スプレーノズル先端を曲げて、チェーンの注油ポイントにノズルが届きやすいようにしておく。

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注油ポイントは赤の三角で示した、シール部とローラー両端の隙間4ヶ所となる。ただし、ここをピンポイントで狙うのは難しいので、黄色丸で示した辺りの2か所をスプレーして、シール部とローラーの隙間を同時に注油する。

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狙った注油ポイントからノズルが外れないように、缶を持つ手をスイングアームなどに添えて、ブレないように固定しながら注油すると良い。

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クリーニング時と同様に拳でリアホイールを回転させながら注油を行う。

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チェーンルブは奥側で1周、手前側で1周、計2周をチェーン内側に向けてスプレーする。

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注油が終わったら余分なルブを拭き取っておく。

チェーンルブ拭き上げ時のポイント!

チェーン全周に注油が完了したら、余分なチェーンルブを拭き取っておく。 その際にもポイントが存在する。

チェーンの両サイドはしっかり握って拭き取る

チェーンの両サイドはどことも摺動しないので、基本的に潤滑の必要は無い。また、スプレーした時点でチェーンルブの皮膜が形成されており腐食しづらくなっている。

余計な油分はホコリの付着を招く要因となるので、ウェスでしっかり握って余剰分は拭き取り、薄く塗り伸ばしておく。

チェーンがぶれて握りづらいときは、しっかり握れるスプロケットの部分で拭き取ろう。

チェーン上下は軽くにぎって拭き取る

スプロケットの歯底にもしっかりチェーンルブを行き渡らせたいので、チェーンの上下は軽く握って意識的に油分を残すように拭き取る

注油後は20分くらい時間を置いて、チェーンルブを浸透させてから走行するのが理想的だ

慣れれば10分程度でメンテナンスできる!

作業になれた西貝さんならば、スタンドアップからクリーニング、注油まで含めて10~15分程度でメンテナンス作業を終えることができる。

そのぐらいの時間であればツーリングから帰ってきてバイクカバーをかけるまでの少しの時間でメンテナンスできるはずだ。

ビギナーでも30分くらいで作業を行うことができるのではないだろうか。

初めてのDIYメンテにもおすすめのチェーンメンテナンス

バイクのメンテナンスはすべてショップにおまかせの人でも、工具を使わずボルトやパーツの脱着の必要がない チェーンメンテナンスなら、気軽に挑戦できるはずだ。

メンテナンススタンドは、チェーンメンテだけでなく洗車時にも便利なのでひとつ持っておくのもおすすめである。

ただし、チェーンメンテナンスは必ずエンジン停止状態で行うこと。エンジンをかけた状態でギアを入れてリアタイヤを回転させながら行うと、指が巻き込まれてしまうので大変危険だ!

ぜひ、自分の愛車のチェーンメンテナンスを正しい手順で行い、快適なバイクライフを楽しんでいただきたい!

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