強豪校に大金星のジャイキリ効果!? 野球部に入部希望者が殺到、思わぬ大所帯に 広島の英数学館高校

声出ししながら練習を見守る1年生部員

 ジャイアントキリング(大番狂わせ)効果だ―。昨夏の全国高校野球選手権広島大会3回戦で広陵を破った英数学館野球部に今春、1983年の創部以来最多の25人が入部した。過去3度の全国制覇を誇る強豪校を下し、例年10人前後の希望者が急増。2、3年生と合わせて50人の大所帯となった。黒田元監督(33)は「あの一戦だけで決して強くなったわけではないが、大きな勝利だった」と驚く。

 「甲子園に行きたい。チームに活気があり、強い点が決め手となった」。複数の希望校の中から選んだ藤本勇太投手(15)=広島・東城中出=は目を輝かせた。 黒田監督はその姿に変化の兆しを感じ取る。「今まで入部してすぐ『甲子園』を口にする選手は少なかった。これまでなら他校に行っていたような力のある選手が来てくれた」

 新入部員25人は福山市や広島市、三次市などほぼ広島県内出身者で占める。大半が広陵戦の勝利をインターネット中継などで見たことが入学の要因となった。16人が寮生活で、学校側も寮の部屋を増床するなど対応に追われた。

 「大金星」で取り巻く環境は一変した。かつて部員不足から休部を余儀なくされたこともあったが、黒田監督はスカウト先で「広陵に勝った英数学館ですね」と言われるなど知名度アップを実感。さまざまなメディアに取り上げられ、他県のチームから「広陵戦の映像を是非、見てみたい」と要望されたこともある。

 昨夏、創部初の4回戦進出を果たしたメンバーが残った中、昨秋、今春は県大会出場を逃した。岩槻翔大投手(15)=広島・段原中出=は午前6時から自主練習に黙々と励む。「先輩は地道な努力があれば強豪校に勝てることを教えてくれた。自分たちも続く」。ナインは昨夏の再現に向けて燃えている。

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