“日本競馬の至宝”「ディープインパクト」その息子は愛媛の小さな町にいた!“ウマ中心”馬術部の1日に密着!

“日本競馬の至宝”「ディープインパクト」その息子は愛媛の小さな町にいた

「ディープインパクト」といえば、言わずと知れた日本競馬を代表する名馬だ。“無敗の三冠馬”で、G1レース7勝、獲得賞金は約14億5,400万円。競走馬の世界ランキングでは、日本の馬として初めて首位に輝くなど、日本だけでなく世界にも衝撃を与えた。

その息子が、愛媛県鬼北町の北宇和高校にある県内唯一の”高校馬術部”にいる。「ディープインパクト」の息子、「R・カレラ」は高校生のパートナーとして部員たちを背中に乗せている。

R・カレラは競走馬を引退後、2020年4月に北宇和高校にやってきた。茶褐色の毛並みで、額から鼻にかけて白いラインが入っている愛らしい表情が印象的だ。

馬術部の山中監督は、R・カレラについて「単純な性格で意気地なし、わがまま」と笑いながら話す。それでも、やはり父親譲りの馬力があり、走る姿からは「ディープインパクト」の片鱗が感じられるという。R・カレラは生徒の人気者だ。

“人馬一体” 「馬術」の世界

“人馬一体”が求められる「馬術」は、演技の正確さや美しさを争ったり、障害物のあるコースの走行タイムを競ったりするスポーツだ。部員たちは現在、R・カレラを含むサラブレッドなど、7頭と活動している。

2014年にはインターハイでベスト16。2017年の国体でも入賞を果たすなど、全国でも活躍してきた。部員たちは偉大な先輩を越えようと、日々練習に励んでいる。

高校の敷地内にある馬場で、R・カレラの背にまたがるのが、部長の松浦 夢さん。現在、インターハイ予選の出場に必要な「騎乗者資格」の取得を目指している。

松浦さんに馬術の魅力を聞いてみた。

馬術部 松浦 夢部長(3年)
「ウマと会話しながら乗って、一緒に障害を気持ちよく跳べたら嬉しいのでそこが魅力的なところ」

「次の障害があれば落馬していた」

馬術では、ウマと気持ちを通い合わせないと、障害を跳ばなかったり落馬させられたりする恐れがある。そのため、常に高い集中力が求められる。練習中、松浦さんが「R・カレラ」を上手くコントロールできない場面があった。馬上で体のバランスが崩れる。すかさず山中監督が止めた。「次の障害があったらあなたはウマから落ちている」ケガを防ぐためにも、日頃から練習の指導には熱が入る。

松浦さんは馬術の難しさをこう語ってくれた。

馬術部 松浦 夢部長(3年)
「ウマが暴れたりとか全然動かなかったりとか対処できない部分があるので、そこが難しい」

また、山中監督は“人馬一体”を目指す大切さをこう話す。

馬術部 山中 瑞穂監督
「体と心が鍛えられるスポーツではないでしょうか。ウマから信頼される人間でないといけない。心の持ちようでウマはどうにでも変わる。自分の心を映す鏡がウマかもしれませんね」

「ウマが先です」365日が“ウマ中心”

馬術部の朝は早い。午前6時35分、北宇和高校の最寄り駅に始発列車が到着。3人の馬術部員が降りてきた。

馬術部 松浦 夢部長(3年)
「Q.眠たくない?」
「だいぶ慣れました。汽車の中で寝ているので」

向かったのは教室…ではなく馬小屋。学校での1日はエサやりから始まる。
それぞれのウマを観察しながら、エサの種類や量などを調節する繊細な作業だ。

昼休み。チャイムが鳴ってすぐに、校舎から3人の部員が走って出てきた。

馬術部 大西 瑠依さん(2年)
「Q.みんな何で走ってる?」
「急いでウマにエサをあげるためです」

昼休みといえば楽しみなランチタイム。それはウマも同じだ。動物であるウマの世話は、もちろん365日休みなし。部員たちが交代で行う。それはウマとの信頼を築くための大切な練習の一部。昼のエサやりを終えると、当番の部員もようやく昼食だ。

馬術部 松浦 正人さん(3年)
「Q.自分の事は後回し?」
「ウマが先です。(友達から)大変そうだねと言われます」

45分間という短い昼休みの間に、ウマと自分のランチを急いで済ませ、午後の授業へと向かう。

北宇和高校は学校存続のため、全国から生徒を募集していて、この春には馬術部に東京出身の生徒が入部した。今年度の最大の目標は、強豪ひしめく中四国予選を勝ち抜き、インターハイに出場することだ。

馬術部 松浦 夢部長(3年)
「1日1日の練習が大切なので大事にしていきたい。インターハイ予選を通過してみんなでインターハイに行きたいです」

ディープインパクトの息子、R・カレラをはじめ、部員たちは3年間を捧げたパートナーと全国の大舞台を目指して汗を流している。

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