新たな長崎市政に1票託す 有谷さん(18)「夢が持てる長崎に」

野口理事長(左)と打ち合わせをする有谷さん=長崎市常盤町、長崎シビックホール

 16年ぶりに新たなリーダーが誕生する長崎市長選(23日投開票)。18~21歳の若者にとっては初めて「自分たちのまちの市長」を選ぶ選挙になる。この春、市内の大学に進学した有谷信之介さん(18)もその一人。子どもたちにまちづくりに興味を持ってもらう活動に取り組んでおり「選挙は自分たちの声を(政治に)反映する機会。長崎を良くしたい」との思いを1票に託す。
 市長選告示を控えた3月下旬。市内で小中高校生ら約50人を前に、立候補予定者4人が並び、子どもへの公約などを語った。「子どもの声を届け、長崎の未来について一緒に考える機会に」とNPO法人インフィーニティー(野口美砂子理事長)が企画した。
 「変えようとしてくれているんだ」。運営に当たった有谷さんは4人の主張を聞き、そう感じた。海外との交流の歴史や、市民の平和への強い思い…。生まれ育った古里への愛着はある。だが一方で若者の県外流出は続き、長崎の給与水準で安心して子育てができるのかとの不安も付きまとう。「食い止めるような政策を取ってほしい。長崎を変えてほしい」と願う。
 同法人は、子どもが現実を模倣したまちで社会の仕組みを疑似体験する「ながさキッズタウン」を開催。今回の企画もその一環だった。有谷さんも小学生の時に初めて参加し、さまざまな仕事を体験しながら、働く意味や税の仕組みなどを学んだ。何より「自分がやりたいことを応援してくれる」ことがうれしかった。
 「こどもスタッフ」として活動するようになり、中学生の時、キッズタウンの“市長選”に出馬し“市長”としてまとめ役を務めたこともある。大学進学を期にこの春、仲間と起業の準備を開始。キッズタウンの活動を広げ、学童保育の運営なども計画する。「チャレンジする姿を子どもたちに見せたい。18歳でも起業できるというロールモデルになりたい」と語る。
 今回の市長選は同世代の友人との間でも話題だ。物心が付いた時から「市長はずっと田上(富久)さん」だったから「市長が代わるのは僕らにとっても大きなイベント」。SNS(交流サイト)で候補者の訴えをチェックしている。
 残念だったのは高校や大学内に期日前投票所が設けられなかったこと。「高校生や大学生が社会の一員として自覚が持てる場を提供してほしい。声を聞き、夢が持てるような長崎に変えてほしい」。有谷さんはそう話し、新たな市政、長崎の未来の姿を思い描く。


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