溝口琢矢×大平峻也「僕らの回は真骨頂だと思う」ドラマ『あいつが上手で下手が僕で シーズン2』インタビュー 

誰かを、そして自分たちを満たすため、必死になって「笑い」を求め、悩み、つかみ取ろうとする芸人たちの青春群像劇、『あいつが上手で下手が僕で』。待望の新シリーズ・シーズン2が4月25日(火)から放送。
シーズン2は、いまだに“遭難”まっただ中のエクソダス(荒牧慶彦・和田雅成)に加え、新たに“島流し”された、ラストワルツ(和田琢磨・染谷俊之)、ノノクラゲ(溝口琢矢・大平俊也)、ねあんでる(木津つばさ・中尾暢樹)の3コンビがお笑いライブハウス・湘南劇場へ合流。笑いに生きる芸人だからこその感情や人間関係が描かれています!

numanでは、【ラストワルツ】、【ノノクラゲ】、【ねあんでる】の3コンビにインタビュー!

お次は、ノノクラゲのボケ担当・東雲嵩紀(シノノメ・カサノリ)役の溝口琢矢さん、ツッコミ担当・狭間くらげ役の大平峻也さんが登場です!

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▲写真左より、溝口琢矢さん(東雲嵩紀役)、大平峻也さん(狭間くらげ役)

幼なじみが“格差コンビ”に。ギクシャクする2人

——役柄について聞かせてください。

溝口琢矢(以下:溝口) 僕らはノノクラゲというコンビ名で、僕が東雲嵩紀で相方は。

大平峻也(以下:大平) 狭間くらげです。

溝口 僕らは幼なじみで芸人をやっていて、わかりやすく言うと“格差コンビ”です。東雲は学生時代、カースト制度でいえば上位にいたような人。でも芸人になってから相方の人気と知名度が上がっていくにつれ、“じゃないほう芸人”として生きていくことになります。「自分は何をしたらいいんだろう、でもネタを書くしかない」と、ずっと思い悩んでいるんです。

大平 でもドラマ・シーズン2では、僕が出演していたレギュラー番組が打ち切りになったりと、東雲に対して誇れる部分がなくなり、2人して追い詰められてコンビ間が一層ギクシャクしていきます。ネタを書いてくれる東雲のことはとてもリスペクトしているという複雑な感情を持ち合わせています。

こんなによくしゃべる僕と一緒にいるのは疲れるはず

——昨年の舞台から、久しぶりにコンビを組んだ感想は?

溝口 僕は単純に心配していました、峻也くんを。

大平 何をよ!(笑)

溝口 こんなによくしゃべる僕と一緒にいるのは疲れるはずなんです。特に舞台期間はずっと一緒にいましたから。

大平 楽屋も2人で一緒だったしね。

溝口 舞台も終わって、「峻也くん、やっと解放されるな」と。

大平 さっきから俺の気持ちを代弁してくれているんだ(笑)。確かにドラマの撮影前に、「またあの日々が始まるんだ」とは思いました(笑)。

溝口 想定内でした(笑)。

大平 琢矢くんはとても博識で向上心も高い人で、「こうしたら面白いですよね」とか、案もたくさん言ってくれるんですけど…。

溝口 けど?

大平 まったく関係ない話が長いというか。この前も僕が、「MacBookが欲しい」と言ったら店員さんのごとく調べてくれて、電車の帰り時間をすべて費やすほどしゃべり尽くしてくれたんですよ。

溝口 30分ぐらい電車に乗るんですよ、一緒に。

大平 なんとなしに言っただけなんですよ。それなのに熱心に答えてくれて、僕が1、言ったら、10、返ってきました(笑)。勉強になったので聞いておいてよかったですけど。

溝口 僕、MacBook使ったことないし、たぶん使う事ないかな?

大平 携帯もAndroidだよね?

溝口 Androidだね(笑)。でもその場で全部調べて、「峻也くん、なにをやりたいんですか?」と、ずっとプレゼンしていました。

大平 楽しかったです。

自分たちの中で勝手に格差を作っていた部分があって。

——劇場で切磋琢磨する芸人たちの気持ち、共感できますか?

溝口 共感ポイントは多いと思います。例えば同期や同い年の誰かが、「主演ドラマをやります」と情報が入ってきたときに、やっぱり、「おー」ってなります。それはおめでとうの気持ちも含めてですが、「もっと頑張んなきゃ」と思う気持ちは東雲の焦りみたいなものに似ていると思います。

大平 最初はコンビが競い合う姿が描かれていて、物語が進んでいくにつれコンビの絆だけではなく、湘南劇場の芸人たちが成長していく様はとても熱くて、ぐっときてしまいました(笑)。

溝口 みんな感情がむき出しになっていくよね。ノノクラゲの“格差コンビ”というのも、表からそういう風に定義づけられている以上に自分たちの中で勝手に格差を作っていた部分があって。お互いが良かれと思ってやっていたことが間違っていたり、得意分野を発揮しても畑が違うだけで周りから格差としてとらえられちゃう。その積もり積もった感情をお互いにぶつけ合う熱い回があるんですよ。

——青春っぽいですね。

溝口 僕らの回は青春だったよね。

大平 めっちゃ、青春でした。

——その熱いノノクラゲ回の見どころは?

溝口 『カミシモ』は、シーズン1の頃から長回しがひとつの見どころで話題になっていたと思いますが、特に僕らの回は真骨頂だと思います。最後の最後に気持ちをぶつけ合うシーンがあるのですが、これは本当に長回しで一回しか撮っていないんです。

大平 言葉が詰まっていたり、止まっているような会話のリアルを楽しんで観ていただければと思います。

「ツッコミが優しいからもっと来ていいよ」って

——漫才は難しかったですか?

溝口 とても難しかったです。

大平 難しかったです。でも、琢矢くんが相手の個性をとても大事に考えて演じる人だから、くらげのパーソナルを掘り下げてうまく見せようとしてくれてありがたかった。「ついていきます」という気持ちでした(笑)。

——ここまで漫才を頑張るとプライベートでもつい、笑いが欲しくなったりしませんか?

溝口 我々、お笑い能力は持ってないのはわかっていますので(笑)。

大平 僕も芸人さんみたいなことはできないかな。

溝口 特に峻也くんはめっちゃ優しい人なので。人間性が優しい人ってツッコミに対しての罪悪感が生まれると思うんです。

大平 それをよく琢矢くん言ってくれたよね。「ツッコミが優しすぎるから、もっと来ていいよ」って。

溝口 ただ、他のコンビの漫才も本当に上手で面白いんです。自然と負けたくない意識が生まれたのか、「いや、僕らも面白いよ」と、思いながら立つようにしていました。

——漫才で努力した点はありましたか?

溝口 僕らはしゃべくり漫才なので、舞台のときに一番意識していたのはテンポでした。テンポが大事という部分はドラマ部分でも大事にしていて、一切妥協せずにやり切りました。

——ボケ、ツッコミの担当的にはどうですか?

溝口 体質的には僕がツッコミだと思うんです。

大平 うん、役とは逆だと思うな。

溝口 だから逆にバランスがいいんだと思います。自分のことは自分ではあまりわからないじゃないですか? 特に昨年の舞台のときは、峻也くんのツッコミを見て、「峻也くん、こういう方がお客さん面白そうじゃないですか?」と言うと、「一回それでやってみる」って聞いてくれて。客席でしっくりきたらそれを完成形に近づける。峻也くんも「俺的にはこう思っているんだよね」と言ってくれるから、「峻也くんから見た俺ってこういう感じなんだ」と、いろいろとすり合わせていった感じです。

大平 そうですね。

さすがに苦手な人とは一緒にいられない

——コンビがこの2人で良かったと思いますか?

溝口 思います、ずっと話を聞いてくれるから。

大平 いやいやいや(笑)。

溝口 峻也くんは懐が広いと思います。

大平 俺だってさすがに苦手な人とは一緒にいられないですからね。

ギスギスした売れていない芸人たちがなぜか愛くるしく思えるような作品

——放送を楽しみにされている皆さんに、メッセージをお願いします。

溝口 今回のシーズン2でもシーズン1の方たちが出演されると発表されて、「どういうところで出てくるんだろう?」と期待されている皆さんも多いと思うんです。彼らはとてもいいシーン、いい塩梅で出演されたのですが、僕もシーズン1を観ていたからこそ、『カミシモ』の空気感をこの人たちが作っていたんだと実感しました。ただ僕はシーズン2のメンバーが大好きですし、シーズン1の方々が作り上げた空気感を引き継ぎ、負けないように面白いものを作るという気持ちでやらせていただきました。ノノクラゲ回はもちろんのこと、全体的に熱いこのドラマをぜひ全話、見逃さずに観ていただきたいと思います。

大平 本当にいろんな人のこだわりが詰まった作品だと思います。スタッフさんにもこだわった舞台を作っていただいたり、カメラマンさんの長回しの斬新さ、そしてカメラワークひとつにしても本当に大切に作っていらして。そんなこだわりの詰まった作品は新感覚で観ていただけると思います。ギスギスした売れていない芸人たちがなぜか愛くるしく思えるような作品は、ラストにはほっこりして観終わっていただけると思います。

【ノノクラゲ】
東雲嵩紀(シノノメ・カサノリ)役:溝口琢矢
狭間くらげ(ハザマ・クラゲ)役:大平峻也

ボケの東雲とツッコミの狭間によるコンビ。くらげがピンで人気を集め、コンビ内の人気格差が問題になっている。

溝口琢矢(みぞぐち・たくや)
1995年5月9日生まれ、東京都出身。

2007年に俳優デビュー。同年 12 歳で「劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生!」でライダーのミニ電王および小太郎を演じ話題に。その後、映画・ドラマ・舞台を中心に様々な分野で活動。主な出演作品に、映画「大河への道」。ドラマ 「善人長屋」「天使の耳~交通警察の夜」2023など。舞台「モダンボーイズ」「Being at home with Claude 〜クロードと一緒に〜2021」8月には、舞台「ワールドトリガーthe Stage」B級ランク戦開始編に出演する。

大平峻也(おおひら・しゅんや)

1994年2月8日生まれ、東京都出身。

2009年に俳優デビュー。ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンで加藤勝郎役を演じ、人気を博す。主な出演作品に、ミュージカル『刀剣乱舞』、『サザエさん』などがある。2023年は、舞台『モノノ怪~化猫~』、演劇調異譚『xxxHOLiC』-續-に出演、6月には舞台『ボクノロワイヤル〜髪の毛同士の戦闘絵巻〜』に出演する。

撮影:笹井タカマサ
スタイリング:稲葉江梨
ヘアメイク:竹内研登・番やよい(マービィ)
取材・文:富田陽美

ドラマ『あいつが上手で下手が僕で シーズン2』作品概要

ドラマ『あいつが上手で下手が僕で シーズン2』

日本テレビ 4月25日(火)24:59~放送開始/毎週火曜日 24:59~25:29 放送
読売テレビ 5月深夜 放送スタート(予定)

【ストーリー】
お笑いライブハウス・湘南劇場。“遭難”劇場と揶揄される寂れた劇場へ“島流し”された8人の芸人たち。「ここを脱出しないと、芸人としての未来は無い…!」。絶体絶命絶望手前のこの状況、どんな手を使ってでも脱出すべく、時に手を取り、時に蹴落とし合いながら、芸人としての賞味期限までのカウントダウン…を乗り越え? なんと売れかけている、【らふちゅーぶ】、【ロングリード】、【アマゲン】の3組。一方、【エクソダス】は相変わらず限界寸前、超絶ギリギリの絶賛遭難中。そこに無人島サバイバルの同志、【ラストワルツ】、【ノノクラゲ】、【ねあんでる】も集まった。崖っぷち群雄割拠のデッドヒートを制し、“脱出”を成し遂げるのは果たして…?

【キャスト】
荒牧慶彦 和田雅成 染谷俊之 溝口琢矢 大平峻也 木津つばさ 中尾暢樹/鳥越裕貴 陳内将 梅津瑞樹 橋本祥平 田中涼星・崎山つばさ/和田琢磨ほか

【スタッフ】
脚本監修:上田誠(ヨーロッパ企画)
脚本:左子光晴、大歳倫弘、橋本尚和(ヨーロッパ企画)
企画・演出:橋本和明(WOKASHI)
演出:山口淳太(ヨーロッパ企画)、岡本充史(AX-ON)
制作協力:AX-ON
制作プロダクション:ウインズモーメント
製作著作:カミシモ2製作委員会(日本テレビ、FAB、読売テレビ)

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