〈上越地域 引退の県議3氏に聞く〉代表として歴代知事と対峙

 長きにわたり地域の代表として県議会で活動、今期限りで引退する県議3人の足跡を紹介する。

◇原発、平和と向き合う 小山芳元さん(75)=上越市
 旧大潟町議を4期16年務め、先輩県議の後継として初当選。以降、7期28年にわたり県政の発展に向けて、4人の知事と是々非々で議論してきた。反原発を掲げた米山隆一知事の誕生の際には、新会派「未来にいがた」を結成して代表に就任。県議会の第2勢力の重責を果たしてきた。

小山芳元氏

 柏崎刈羽原発については東日本大震災・福島原発事故以前から、旧社会党時代より社民党の現在まで一貫して反対してきた。再稼働の是非は、花角英世知事に対し、信を問う「県民投票を行うべき」と強く主張した。
 旧三和村で発生した産業廃棄物不法投棄に対する行政代執行の実現も、印象に残る出来事。「いろいろな皆さんの声を聞き、県政に反映させた。努力して駄目なこともあったが、努力する精神だけは忘れなかった」。あらゆる問題を受け止めてきた「よろず屋」の役割に胸を張る。
 先輩として新しい県議に「県全体と県政をチェック・監視し、権力に迎合せず、真の代弁者として活動してほしい」。上越の課題には「組織や党派の垣根を越えて取り組んでほしい」と期待する。
 引退は「5期目ぐらいと思っていたが、いろいろなことがあり、辞めるわけにはいかなかった。今は明鏡止水の心境」と話す。
 今後は原点の地域に戻り、これまで通りの理念で原発や環境、人権、平和の問題と向き合う。「国政のやりとりが右傾化していく中で、私がやらなければいけない仕事は、まだたくさんある」

◇県との関係強化に力 横尾幸秀さん(77)=妙高市
 4期16年にわたり、妙高市区選出県議として重責を全うした。全戸配布してきた「県議会だより」は、4月12日発行の第57号で最終回。「57回続いたのはまさに奇跡。三日坊主の私が、よく継続してきた」と心境を話す。

横尾幸秀氏

 旧新井市職員時代は、企業誘致などで手腕を発揮。入村明市長(当時)の誕生とともに実績を請われ、助役に就任した。合併前後の4年間、難しい局面で市政を支えた。「助役としての役割を果たした」と引退する意向だったが、周囲に推される「想定外の出来事」で県議選に出馬。激戦の末、初当選した。
 前半2期は、保守系議員として無所属で活動。40年以上の市職員経験を生かし、県職員に市内を視察してもらう「現地見分」など、県と妙高市の関係強化に力を入れた。後半2期は、満を持して最大派閥の自民党に所属。総務文教委員長、厚生環境委員長を各2回、建設公安委員長を1回務めた。
 印象に残る出来事として、一般質問や委員会審議で泉田裕彦知事(当時)と対峙(たいじ)した案件。福祉関係4計画が本県だけ未策定だった問題と、第三セクター新潟国際海運(株)と県に関わる問題を挙げる。当時は食道がんの摘出手術後で「気持ちで乗り切った」と回顧する。
 最後となった県議会2月定例会では再び、副議長就任という「想定外の出来事」が待っていた。「議員各位に花を添えていただいた」と感謝する。完全引退し、愛する妙高の将来を静かに見守る。

◇女性議員増加に熱意 秋山三枝子さん(72)=上越市
 上越市代表の県議として2期8年、重責を果たした。くびき野NPOサポートセンター理事長などを務め、長年にわたり市民活動を実践。国政を志す梅谷守県議(当時)の後継として「次は女性議員を」との声があり、人選に協力。そのうち自身が抜てきされた。「断る理由がないと思った」。政治分野の女性進出をと強い決意で臨み、64歳で初当選した。

秋山三枝子氏

 1期目は「未来にいがた」に所属。NPO法人での経験や人脈を活用し、まちの声、地域の課題を拾った。知事と対峙する一般質問には約18問が必要。相当な重圧の中で懸命に作った。当時担当だった県職員には、「二人三脚で向き合い、考えさせてくれた」と今も感謝する。
 2期目は、新会派「リベラル新潟」を立ち上げ共同代表に就任。無所属の5人が切瑳拓磨(せっさたくま)して政策提言を行い、柏崎刈羽原発問題では新事実を指摘、追及するなどした。「国政と違う県政へのこだわりの中で良い仕事ができた」と振り返る。
 「もっと女性議員を増やしたい」と熱心に呼び掛け、超党派の「新潟県女性議員の会」に参画した。自ら冊子『女性議員ルポ』を発行・編集し、県内の女性地方議員を取材してきた。計7回で56人を紹介。今年1月末現在、85人を数えるまでになった。
 今後は、地元の市民活動に戻る。多様性のある男女共同参画社会に向けて、上越3市で「女性議員がさらに出やすい市議会に。半分を女性が占める議場を見たい」と夢見る。

© 株式会社上越タイムス社