桜の開花8日早まる 温暖化の気温上昇 専門家「今後も早まる」 宇都宮

 2020年代に入り、宇都宮市の桜(ソメイヨシノ)の平年開花日が1970年代と比較して8日早まったことが22日までに、宇都宮地方気象台の生物季節観測データなどで分かった。温暖化に伴い同市の平均気温が上昇していることが主な要因で、専門家は今後も開花が早まると予測している。

 同気象台は1953年以降、敷地内にある桜の咲き具合を目視で観測し、5~6輪以上を「開花」の条件にしている。現在の平年開花日は3月30日(1991年~2020年の平均値)。

 1970年代は開花日が3月29日~4月10日だったが、2020~23年は3月20日~27日に早まっている。毎年の開花日を基に東京管区気象台が作成した経年変化のグラフによると、この50年間で8日早くなったことになる。

 背景にあるのは、気候変動による平均気温の上昇だ。同市の年間平均気温は、この100年間で2.3度上昇。同気象台は「今後も上がることが考えられる」とみる。

 県気候変動対策課によると、二酸化炭素(CO2)排出削減の効果的な対策を取らなかった場合、県内の今世紀末の平均気温は20世紀と比べ4.4度上昇するとの予測もある。

 桜が開花するためには「休眠打破」と呼ばれる一定の寒さが必要だが、地球温暖化の影響で鹿児島県の一部では開花しない花芽が出るなどの事例も出ている。

 本県の開花への影響について、桜を専門とする樹木医で東京大付属小石川植物園の清水淳子(しみずじゅんこ)技術専門職員は「今後もある程度は開花が早くなり、特に県北の寒冷地では大幅に早まる」と推測。一方で「正常に開花しなくなるといった影響や、生育に支障が出ることは現時点では考えにくい」と話している。

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