先島にPAC3展開 北朝鮮衛星で破壊準備命令

 【東京】浜田靖一防衛相は22日、北朝鮮が打ち上げを計画する「軍事偵察衛星1号機」が日本領域に落下する事態に備え、迎撃ミサイルなどの部隊を展開するため「破壊措置準備命令」を発出した。沖縄県内各地に航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)や移動通信部隊、陸上自衛隊部隊を展開する準備を命じた。関係者によると、展開先は石垣市や宮古島市、与那国町の自衛隊施設などを念頭に置いている。

 2012年と16年にも北朝鮮が衛星として飛翔体を発射した際には沖縄上空を通過し、フィリピン沖に落下した。防衛省は当時、県内に迎撃ミサイルを一時展開した。県内では現時点で空自の那覇基地や知念分屯基地、恩納分屯基地にPAC3が常時配備されている。

 今回の北朝鮮の衛星打ち上げについて防衛省は(1)通信部隊による情報収集(2)日本領域への落下が予想される場合は迎撃(3)落下部品などがあれば、陸自部隊が回収・処分―することなどを想定している。海上配備型迎撃ミサイル搭載のイージス艦も展開する。

 北朝鮮は今回、発射方向や期間を明らかにしていないが、関係者によると、人工衛星と称して事実上の弾道ミサイルを打ち上げたとされる過去4度のうち、直近の3度は南方向に発射している。

 過去の経緯や収集した情報を踏まえ、防衛省は沖縄方向に発射される可能性があるとみて県内で迎撃態勢を整える方針を決めた。防衛相の準備命令を受け、自衛隊は連絡調整員らを派遣し県や関係市町村との調整を進めている。

 防衛省によると、北朝鮮は19日、金正恩朝鮮労働党総書記が完成した軍事偵察衛星を計画期間内に発射するよう指示したと発表。松野博一官房長官は同日の記者会見で「衛星と称したとしても、仮に北朝鮮が弾道ミサイル技術を使用した発射を強行すれば、明白な安保理決議違反だ」と批判していた。

 自衛隊による迎撃を可能とする破壊措置命令は、北朝鮮の相次ぐミサイル発射を踏まえ、16年8月以降に常時発令された状態となっている。

 (明真南斗まとめ)

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