エバンス首位。トヨタ勢は7つのSSで最速を記録「全員のパフォーマンスが非常に高かった」/WRC第4戦

 4月22日、WRC世界ラリー選手権第4戦『クロアチア・ラリー』のデイ2が、クロアチアの首都ザグレブを中心に行われ、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR WRT)のエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が前日の総合2番手からポジションを上げ、新たなラリーリーダーとなった。

 また、チームメイトのセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合7番手から4番手に浮上。カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)も前日からひとつポジションアップの総合5番手となった。なお、TGR WRCチャレンジプログラムにより4台目のトヨタGRヤリス・ラリー1で今大会に参戦している勝田貴元/アーロン・ジョンストン組は総合6番手につけている。

 サービスパークの南西のエリアで、4本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行するスケジュールで行われた競技2日目。SS9からSS16まで、計8本のSSの合計距離は116.60km、リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は793.98kmという長い一日は、朝から好天に恵まれ路面は概ねドライコンディションとなった。

 前日のデイ1で首位ティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)と5.7秒差の総合2番手につけたエバンスは、デイ2午前中3本目のSS11でヌービルがリタイアを喫したため総合首位にポジションアップ。総合2番手に順位を上げたオット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1)と22.6秒差で午前中のループを終えた。

 デイ2ではリザルト上位のドライバーが後方からの出走となるため、エバンスはコーナーのインカットにより砂利がコース上に掻き出され、ダーティで滑りやすくなった路面を走行することに。それもあって午後の再走ステージでタナクに対するリードは一時12.5秒に縮まってしまう。しかし、その後ライバルのクルマに不具合が発生したこともあり、最終的にタナクに25.4秒のリードを築いて一日を終えることとなった。

エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2023年WRC第4戦クロアチア・ラリー
勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2023年WRC第4戦クロアチア・ラリー

■ふたりのチャンピオンがステージウインを奪い合う

 一方のオジエは、デイ1で4本のベストタイムを記録しながらも、SS2でダメージを負ったホイールの交換作業で大幅にタイムロス。それでも総合5番手で初日のラリーを終えたが、その日の夕方に60秒のタイムペナルティが課せられ総合7番手に順位を下げた。

 さらにデイ2の朝、SS9に向かうロードセクションで発生した問題の解決に時間を要し、タイムコントロールに遅着したことで10秒のペナルティを受けてしまう。しかしオジエのスピードに陰りはなく、3本のベストタイムを記録して総合4番手まで順位を挽回してみせた。

“8冠王者”のオジエと同じくデイ1でのホイール交換によって大きく遅れていた“最年少王者”ロバンペラは、デイ2で4本のベストタイムを刻むなどして総合5位まで浮上。一日をとおして接近戦を繰り広げた22歳のフィンランド人と39歳のフランス人のタイム差は、デイ2最終のSS16をオジエが制したあと2秒ジャストとなった。ふたりのチャンピオンによる4番手争いは明日の最終日も続くことになる。

「今日は私たちにとって良い一日だった。ドライバーは全員パフォーマンスレベルが非常に高かったと思う」と競技2日目を振り返るのは、チーム代表のヤリ-マティ・ラトバラ。

「エルフィン(・エバンス)のおかげでラリーをリードすることができたし、難しいコンディションで25秒以上のリードを築けたのは、彼の多大な努力の賜物だ。もちろん、素晴らしい戦いをしていたティエリー(・ヌービル)のリタイアによってリードを得ることは望んでいなかったが、その新しいステージが非常に難しいコンディションだったことが証明された」

「また、セブ(セバスチャン・オジエ)とカッレ(・ロバンペラ)というふたりのワールドチャンピオンが、クリーンファイトをしながら順位を上げていったのは興味深く、マニュファクチャラーズポイントという点でも良かった」

「そして、(勝田)貴元が自信を持ち始めたのもまた、良いことだ。23日(日)の最終日は、昨年よりもコンディションが安定しそうなので、すべてがうまくいくことを願っている」

 その競技3日目はサービスパークが置かれているザグレブの北側エリアで2本のステージを各2回走行する。SS17からSS20、計4本のSSの合計距離は54.48km。リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は374.52kmだ。なお最終ステージのSS20は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスポイントが付与される“パワーステージ”に指定されている。

ヤリ-マティ・ラトバラ(TOYOTA GAZOO Racing WRT チーム代表) 2023年WRC第4戦クロアチア・ラリー
カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2023年WRC第4戦クロアチア・ラリー

© 株式会社三栄