「ポジティブに、冷める」岩田寛がローテンションで日本勢唯一のトップ10

岩田寛が日本勢トップの4位で大会を終えた(撮影/奥田泰也)

◇国内&欧州男子ツアー共催◇ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント! 最終日(23日)◇PGM石岡GC(茨城)◇7039yd(パー70)

思うようにいかないショット。テンションは開幕前からダダ下がりだった。今週、ドライビングレンジ後方で散見されたのは岩田寛がため息をつきながら佇む姿…。練習日から熱が入らず、試合が始まってついには「初日の途中で、どうしようもなくなっちゃって冷めちゃったんです」と肩を落としてコースを歩いた。

その意気消沈ぶりが、スコアに直結しないから摩訶不思議。「冷めてから、もうボギーを打ちたくないなと思って。それで、なんとか(アプローチ、パターで)寄せられる方に打とうと」。第1ラウンド後半に2バーディを決めて「68」。2日目「66」、3日目に再び「68」で回り、13位で迎えた最終日にはバックナインで猛チャージがかかった。

1つスコアを伸ばして迎え、5mを沈めた12番から3連続バーディ。17番(パー3)では7Iでのティショットを左奥に切られたピンそば1mにつけるスーパーショットを見せた。それでいて、表情は変わらずテンションも上がらないまま…ベストスコアの「65」をマーク。通算13アンダーの4位、日本勢唯一のトップ10入りも、「もともと冷めて見られるのに、今週、僕を見てくれた人は『なにコイツ』って思われているかもしれない」と、終わってみてなんだか心配になってきた。

ことしは2月に中東でのアジアンツアー3試合に出場し、いずれも予選落ちした。3月の国内ツアー開幕戦「東建ホームメイトカップ」では途中棄権。前週の「関西オープン」で初めて4日間を戦い60位だった。

低迷続きのシーズンで突然、覚醒したかのような出来は、難度の高いコースセッティングも理由にありそう。「いつもの石岡だとバーディ合戦。あっちの感じではたぶんダメでした。(今の調子では)伸ばせないんで」。欧州ツアー仕様の、硬く仕上げられたグリーンを見て作戦を変えた。「とりあえずフェアウェイに行かないとムリだから、結構(1打目を)刻んだ。自分の中で“できれば使いたくない”ショットを使ったり」。ミスに対しても寛容に。「いつも怒るから、余裕がない」ところを、「ポジティブに、冷める」ことでやり過ごした。

堅実なショット、マネジメント、平穏なメンタル。「今週、編み出したかもしれない」と42歳は今も成長、試行錯誤の真っただ中。「来週(中日クラウンズ)になったら、たぶん怒ってます」と遠い目をするのも、ヒロシらしさなのだ。(茨城県小美玉市/桂川洋一)

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