G7 学び直しで生産性向上へ決意 労働相会合 倉敷宣言を採択し閉幕

倉敷宣言を取りまとめた会合を終え、記念撮影をする加藤勝信厚生労働相(右から4人目)ら代表者=倉敷アイビースクエア

 倉敷市が会場となった先進7カ国(G7)労働雇用相会合は23日、デジタル化や脱炭素といった環境変化に対応するため「人への投資」に連帯して取り組むとする「倉敷宣言」を採択し、閉幕した。各国が連携してリスキリング(学び直し)を支援し、生産性向上や賃上げにつなげる決意を示した。宣言は5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の議論に反映される。

 議長を務めた加藤勝信厚生労働相が会場の倉敷アイビースクエア(同市本町)で記者会見し「人口動態や構造変化を背景とした課題について意見を交わし、共通の方向性を見いだすことができた」と述べ、宣言の意義を強調した。

 倉敷宣言は、産業構造の変化に加え新型コロナウイルスの世界的流行や気候変動、物価上昇などが「労働者の将来の展望を描きにくくさせている」と指摘。個々人がキャリア展望や将来のプランを持てるよう、人的資本への投資▽多様な人々が参加できる労働市場の整備▽仕事にやりがいや熱意を持っている状態の「ワーク・エンゲージメント(WE)」向上―などをテーマに、先進諸国が取り組むべき方策を挙げた。

 学び直しに関しては「経費とみなすべきではなく、人への投資であると考える」として、各国が教育訓練など十分な機会を提供し、成長分野への労働移動を促すよう提唱した。生産年齢人口の鈍化・減少に直面する中、高齢者や障害者の雇用、女性活躍の推進も明記。WEの実現に向け、適切な賃金確保や格差是正の必要性も盛り込んだ。

 労働雇用相会合は、G7広島サミットに伴う閣僚会合の一つ。この日のエクスカーション(視察)では、各国代表が後楽園(岡山市)を訪れた。

© 株式会社山陽新聞社