過度な管理「リモハラ」に直結 業務時間外の連絡など21.7%経験

労働者側からすれば歓迎のリモートワークだが、「生産性が上がらない」といったマネジメント面の課題が明らかになっている。ただ安易に、管理や指導を厳しくしてしまうとリモートハラスメント、いわゆる「リモハラ」ととられかねない。

ライボの調査機関「JOB総研」が351人の回答を集計した2023年リモハラ実態調査によると、リモートワーク経験者の21.7%が「リモハラを受けたことがある」と回答している。被害を受けたと感じたリモハラの内容をみると、「業務時間外のチャットやSNSを通したやりとり」が41.1%で圧倒的に多い。感じ方の差で「仕事熱心」ととられることもあるだろうが、夜間や早朝といった業務時間外での仕事に関する連絡は、多くのリモートワーカーが「嫌がらせ」ととらえていることを裏づけた。


このほかのリモハラの内容としては、「WEBカメラを常につなげた状態を強要する」と「極めて頻繁に業務状況を報告させる」が25.0%と同率で続き、以下、21.4%の「プライベートに関する話題に踏み込む」と「勤務外含め時間の使い方を指導」、19.6%の「室内の様子や生活音などをチェックする」までが二桁を超えた。WEBカメラの設定などリモートワークならではの問題ともとれるが、過度な監視はもちろん、行き過ぎた指導、プライベートの侵害などのリモハラは、対面で業務を行うオフィスワークでも生じ得るパワハラの一種であるといえるだろう。

職場でのリモハラ対策について尋ねると、「ある」が14.2%、「ない」が34.8%で、51.0%と過半数が「有無を知らない」と回答。自社のリモハラ防止対策への満足度は「満足」が28.5%で、「不満足」の71.5%を大きく下回っており、パワハラが法で規制されていることを考慮すれば物足りない。


リモハラを「した」経験が5.9%にとどまるように、加害者意識には鈍感で被害を受けたことに過敏なのはハラスメントの典型的な特徴だ。問題となってからでは手遅れで、どんな行為がリモハラに該当し得るのかを把握し、パワハラの一種ととらえた総合的な対策が求められている。

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