16年ぶり長崎市長交代 鈴木氏が組織力で逃げ切る 統一地方選後半戦

初当選を確実にし、万歳をする鈴木史朗氏(中央)=23日午後11時8分、長崎市魚の町の選挙事務所

 統一地方選後半戦のうち、現職の退任に伴って16年ぶりにリーダーが代わる長崎、佐世保両市長選と、長崎、佐世保、大村の3市議選、西彼長与、時津、東彼東彼杵、川棚、北松小値賀の5町議選は23日、投開票された。
 無所属新人4人で争った長崎市長選は前九州運輸局長の鈴木史朗氏(55)=自民、公明推薦=が、前県議の赤木幸仁氏(38)、会社経営の原拓也氏(54)、社会福祉法人理事長で元市議の吉富博久氏(78)を退け、初当選した。
 16年ぶりに県都のリーダーが代わる長崎市長選は、鈴木史朗、赤木幸仁、原拓也、吉富博久の4氏が出馬し、人口減少対策などで論戦を繰り広げた。退任する現職の田上富久氏が支持する鈴木氏に対し、赤木、原、吉富の3氏は「市政刷新」の訴えを強めたが、自民、公明両党の県組織や地元経済界が推す鈴木氏が初当選を果たした。
 投票率は47.18%。前回より0.15ポイント下がり戦後最低を更新した。有権者の半数以上が投票しておらず、深刻な政治離れが続く。

 国土交通省出身の鈴木氏は経験や人脈を生かし「経済再生と少子化対策の車の両輪で人口減少の危機を克服する」と主張。現職の支持や800を超える企業・団体が推薦し、組織力で逃げ切った。
 赤木氏は「長崎百景」と銘打った100の政策を掲げ「長崎の閉塞(へいそく)感を打破する」と訴えた。組織に頼らない戦略でSNS(交流サイト)も駆使し、無党派層の取り込みを図ったが、涙をのんだ。
 市PTA連合会長も務めた原氏は「民間の自由な発想で、市民に寄り添い、市民に身近な施策に取り組む」とアピール。市内全域に広がるPTA活動の人脈をてこに支持を呼びかけたが、届かなかった。
 3度目の挑戦となった吉富氏は「箱物重視で市民不在」と現市政を批判し「市民の暮らしを支える市政を」と強調。陸上競技場(松山町)の現地存続を訴え、市民団体が支援したが、及ばなかった。

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