16年ぶり市長交代の佐世保 宮島氏が橋之口氏ら退ける 統一地方選後半戦

初当選を果たし万歳する宮島大典氏(中央)=24日午前0時1分、佐世保市上京町

 統一地方選後半戦のうち、現職の退任に伴って16年ぶりにリーダーが代わる長崎、佐世保両市長選と、長崎、佐世保、大村の3市議選、西彼長与、時津、東彼東彼杵、川棚、北松小値賀の5町議選は23日、投開票された。無所属新人3人の戦いとなった佐世保市長選は前県議の宮島大典氏(59)が前市議の橋之口裕太氏(39)=自民推薦=、元大学助手の田中隆治氏(79)を破り、初当選を果たした。新しい市議、町議計159人も決まった。
 子育て支援や「基地の街」の振興などを軸に論戦を繰り広げた佐世保市長選は、国政経験や「県市連携」の政策推進を訴えた宮島大典氏が、新市長の座を射止めた。
 宮島氏は昨年10月にいち早く出馬を表明。九十九島にちなんだ公約「99の政策」や、合併旧町のアジェンダ(政策課題)をまとめ、地域ごとの問題に取り組む方針を浸透させた。
 選挙戦では、防衛大臣政務官を務めた経験と人脈を前面に出した。昨年2月の知事選で協力した大石賢吾知事が積極的に応援。宮島氏は、県南と県北の地域振興は「南高北低」が続いていると指摘し、県と市が連携して課題に取り組む姿勢を強調した。
 自民系の一部議員や県看護連盟など有力団体からも支持を受け、保守分裂の構図に持ち込むことに成功。統一地方選前半戦の県議選で宮島氏がサポートした立憲民主や社民の県議らも下支えした。

 橋之口裕太氏は、39歳の若さと4人の子どもを持つ父親の姿をアピール。自民県連推薦の旗を掲げて組織力で対抗し、「基地の街の市長は政権与党との連携が必要だ」と主張した。現職の朝長則男市長の後援会や有力な企業・団体などがバックアップしたが、一歩及ばなかった。
 田中隆治氏は、経済活性化策や石木ダム建設で水力発電装置を導入する持論を展開したが伸びなかった。
 投票率は52.88%。前回に比べ2.77ポイント上昇した。

© 株式会社長崎新聞社