NEDO、「ロボット分野における研究開発と社会実装の大局的なアクションプラン」公表

このロボットアクションプランは、ロボット技術戦略の策定およびプロジェクトの早期開始に向けたもの。

学術界・産業界の有識者で構成した委員会でロボット活用が期待される8分野(ものづくり、食品製造、施設管理、小売・飲食、物流倉庫、農業、インフラ維持管理、建築)を取り上げ、あるべき姿の実現に向けて、2030年を目安に短期で求められる施策を「社会実装加速に向けたアクションプラン」、2035年に向けて中長期でのインパクト創出を見据えた施策を「次世代技術基盤構築に向けたアクションプラン」としてまとめた。

NEDOは今後、各分野での課題をさらに深掘りするとともに、社会実装と次世代技術開発の両輪で、社会課題の解決に取り組んでいくとしている。

なぜロボットアクションプランが必要か?

労働人口の減少下でのGDPの維持拡大、地球環境負荷の極小化、経済的・社会的インフラのレジリエンシー向上は日本の喫緊の社会課題となっており、ロボットの活用を通じたより一層の生産性の向上、新たな産業創出への期待は大きいという。

日本では2015年度に「ロボット新戦略」を策定し、これまで30以上の官民連携による技術開発プロジェクトを実施。その間、ロボット自体やそれを支える個々の技術は進化してきているものの、ロボット導入現場のニーズとの間に未だギャップがある。

2019年度に「ロボット実装モデル構築推進タスクフォース」を設置し、ロボットフレンドリーな環境の実現が進められている。諸外国でも社会実装を加速しており、2035年あたりを目標に技術開発、環境整備の両輪が一体となった短期と中長期両方を見据えたアクションプランの策定の必要性が高まっているという。

ロボットアクションプランの概要

委員会では2035年に向けて市場性、社会的インパクトからアクションプランの対象とする分野を導出した。

各分野のあるべき姿実現のために今後求められる取り組みを、ニーズを起点とした「社会実装加速に向けたアクションプラン」、中長期でのインパクト創出を見据えた「次世代技術基盤構築に向けたアクションプラン」として抽出したものがロボットアクションプランである。

委員会では各分野のニーズに沿って、技術開発だけに閉じない取り組みを議論し、技術開発、環境整備の両面から社会実装加速のために2030年を目安に短期で求められる施策を導出。

技術開発として5領域(マニピュレーション、モビリティ、インタラクション、デジタル基盤・知能化、インテグレーション)、環境整備として5領域(物理環境の整備、業務設計・運用設計、SIer・人材・ベンダー育成、新サービス創出・ビジネスモデル形成、啓発・規制対応)に整理した。

ロボット活用への取り組みと広がり

出口志向での取り組みの必要性

個々の技術、ロボット単体の開発が進んできたが、現場ニーズに合わせたロボットシステムとしての視点に欠け、社会実装が進んでいない。出口志向のアクションプランで今後求められる取り組みの方向性を示した。

ロボット活用の広がりと取り上げた分野

多くの分野でロボット活用の広がりが期待される。市場性、社会的インパクト、活用素地の有無、更なる官民連携の必要性などの観点から、委員会での議論を通じて取り上げる分野を選定した。

アクションプランの全体像

出口志向でのシステム統合が重要だと提言。そのための社会実装の加速と要素技術の進化の両輪を回していくとしている。

社会実装加速に向けたアクションプラン

技術開発例

環境整備例

各項目の詳細

次世代技術基盤構築に向けたアクションプラン

▶︎独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)

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