候補者の性別公表、対応割れる 神奈川県内3選管は非公表 背景にLGBTQらのプライバシー配慮など 

統一地方選での性別公表を巡る選挙管理委員会の対応

 今回の統一地方選の立候補者の性別公表を巡り、県内では横浜、小田原、伊勢原市の3選挙管理委員会が一切非公表とした。男女内訳のみを明らかにしたり、同意を得た上で候補者ごとの性別を発表したりする対応もあった。背景にはLGBTQ(性的少数者)らのプライバシー配慮などがあり、公表範囲を巡る各選管の判断が分かれた形だ。

 立候補の届け出書類には性別欄があり、前回2019年の統一地方選では各選管が候補者ごとの性別を報道機関などを通じて公表していた。

 今回、各選管が非公表や同意付き公表などの対応を取った背景にあるのが、総務省が20年に出した通知だ。

 地方議員のなり手不足が指摘される中、「プライバシーの観点などから立候補に支障を来す恐れがあるとの指摘もある」として立候補者の性別や細かい住所などを告示対象外とすることが「適当」とした。立候補の障壁となりかねない性別公表への抵抗感やストーカー被害のリスクを減らす狙いがある。これを受けて各選管が公表範囲を検討し、通知後初の統一地方選で対応の違いが表面化した格好だ。

 神奈川新聞社は今回議員選を行った県と県内18市町(湯河原町議は補選)の選管にアンケートを実施。報道機関に提供する発表資料の形式を尋ねた。性別を一切非公表とした横浜市は「候補者のプライバシーや多様性の観点から国の通知に準ずる対応とした」と説明。川崎、横須賀、葉山、山北の2市2町も候補者ごとの性別は記載せず、報道機関の個別の問い合わせに男女内訳などを回答する方針を取った。

 候補者ごとの性別を発表したのは県と相模原、平塚など11市町で、いずれも本人同意を条件とした。藤沢市は「公職の候補者という立場なので、本人同意があれば公表しても差し支えないと判断した」と説明。中井町は「LGBTQなどへの配慮の重要性の一方、男女共同参画の側面からあえて女性に投票したいという人もいるかもしれない。通知はあくまで技術的助言なので、ただちに変えるのではなく、今後の議論の中で考えていきたい」とした。

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