4月にあった南九州四県対抗バスケットボール選手権(南九)の県予選で大分が優勝した。1カ月後に控えた県高校総体でも大分が優勝候補の筆頭だが、虎視眈々(たんたん)とタイトルを狙うライバル校も力を付けている。全国高校総体を前に実力校の現在地を探った。
第1回は王者・大分だ。2021年のウインターカップ県予選から県内負けなしを更新し続ける。
■昨年度の主な成績■
県高校新人大会 優勝
ウインターカップ県予選 優勝
県高校総体 優勝
個人技術の高さとチームワークで、新チーム始動から連勝を続ける大分。「一人一人が自分の能力を自覚し、『自分が得点を決める』という意識を持って戦えるチームに仕上げたい」と、井場田卓監督。これまで数々の全国大会を経験し、「エース一人の力だけでは勝てない」という現実を知るからこそ、全員の得点力アップが強化ポイントとして明確になった。これまではキャプテンでエースの緒方梨乃(3年)に頼りがちだった攻撃だが、全員がシューターとしての意識が芽生えた。一瞬のチャンスを逃さず、コートに立つ全員が積極的に得点を狙うチームへと成長している。
4月からチームを指揮する井場田監督は、ゾーンからマンツーマンへと守備スタイルの軸を変更した。南九県予選では、ボール保持者へのダブルチーム(2人でマークすること)、パスカットからの速攻など、粘り強い守備から得点が増えた。しかし、井場田監督は「ゾーンのクセが抜けていない。もっと相手に詰めてプレッシャーを与えるディフェンスを強化する必要がある」と話す。南九州県予選の決勝では終盤で足が止まり、連続で3ポイントを許してしまう場面もあった。「最後の一秒まで走り切る体力がまだ足りていない」(井場田監督)と、基本となる体力強化を図っている。
キャプテンとしてチームをけん引する緒方は、1年生の頃から主力として活躍し、楽しさも厳しさも知る選手。技術の高さはもちろん、経験値でもチームに大きな影響を与えている。最終学年になった今、「自分が得点することだけでなく、アシストやリバウンドでも活躍したい」と意識も変化した。オールラウンダーとして成長を目指す緒方に加えて、冷静な判断力と正確なシュートが武器の吉岡彩(3年)の存在も刺激になっている。
南九の本戦では1位リーグで2勝1敗で2位となり、チーム力の高さを証明した。県高校総体では連覇を達成し、先輩たちが掲げてきた「全国ベスト8以上」の目標達成に向けて、視界は良好だ。
(黒木ゆか)