新学期も目立つマスク 小中高校、着脱に不安と期待

マスクあり、なし交じって授業を受ける児童(和歌山県田辺市南新万の田辺東部小学校で)

 新型コロナウイルス対策の緩和で、児童や生徒に原則、マスク着用を求めない新学期が始まった。ただ4月後半に入っても、小中高校の教室では依然マスク姿が目立つ。周囲の目を気にしていたり、感染の再拡大が心配だったり。マスクの下には期待や不安が隠れている。

 和歌山県田辺市の田辺東部小学校(児童269人)では、9割近い児童がマスクを着用している。取材に訪れた4月下旬、5年生の教室でも大半の児童がマスク姿で授業に臨んでいた。

 マスクを着用する女子児童は「みんな着けているので、(外すには)周りの目が気になる。同級生の素顔は1年生の時以来見ていないし、私も見せていない。外すのはちょっと恥ずかしいけれど、みんなが外せば外したい」と話した。

 一方、マスクを着けていない男子児童は「外す方が楽。着用している時は、息苦しさを感じていた。まだ外している人は少ないけれど、気にならない。外した方がいいよ、とも言っていない。自分で選べばいい」と笑顔を見せた。

 市内の別の小学校では教員の多くがマスクを外して授業をしている。外している、外すのをためらっている児童に「大丈夫だよ」とメッセージを送る意味もあるという。校長は「高学年を中心に着用児童が多い。これから暑くなってくれば外す子も増えるのではないか」とみている。

 市内のある中学校長は「マスクを外しているのは一部の男子で、女子は外すのを恥ずかしがる傾向がある。3年間のコロナ対応に慣れ、社会でも着用者が多い。当面現状が続くのではないか」と見解を示した。

 保護者の対応も分かれる。小学2年生と中学3年生の父親は「マスクは持参しているが、外して登校している。中学生は着用している子も多いが、うちの子は(周囲を)気にしないようだ」と話す。

 中学1年生と高校3年生の母親は「まだまだ感染は心配。無理に外させるつもりはない。マスクを外した(子どもの)友達が遊びに来ると今でもギョッとしてしまう」としばらく様子見のつもりだ。

 小中学校ではマスク着用以外はコロナ前の姿に戻りつつある。行事は通常通り開催の予定で、コロナ禍で近場が主流だった修学旅行も、京阪神や東京など従来通りに戻すところが多い。

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