後悔してもいい…焦る夫婦が電話中、教諭が声掛け「電話代わってください」 夫婦拒否も電話代わり詐欺阻止

左から菅原誠大宮東署長、吉岡誠さん、川嶋雄介同署生活安全課長=20日、大宮東署

 埼玉県警大宮東署は20日、特殊詐欺を未然に防いだとして、高校教諭の吉岡誠さん(31)に感謝状を贈った。

 同署などによると、吉岡さんは7日午後6時ごろ、同区内の金融機関を利用していた際に、携帯電話で話をしながらATMを操作している高齢者の夫婦に気付いた。妻が「今着いたのですがどうすれば…」などと話し、焦っている様子を見せていたという。

 吉岡さんは不審に思い、夫婦に「一度電話を代わってもらえませんか?」と話しかけた。

 夫婦は当初吉岡さんの申し出を断ったが、そこであきらめることなく、詐欺の可能性があることを丁寧に説得。電話を代わった途端に通話は切れ、以降つながることはなく、夫婦が被害に遭うことを水際で防ぐことができた。

 吉岡さんは、過去に父親が特殊詐欺の被害に遭いかけた経験があり「話しかけずに後悔するよりも話しかけて後悔したほうがいいと思った。今後は胸を張って声かけをしたい」と感謝状を手に笑顔を見せた。

 同署の菅原誠署長は「自分から声をかけるのはなかなか難しい。県内で特殊詐欺の被害が増加し続ける中で、このような好事例はありがたい」と感謝の言葉を述べた。

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