「ない」から生まれるガッツが人を成功へと導く。NYエンタメの会、ファッションデザイナー小西翔さん

By 「ニューヨーク直行便」安部かすみ

(左から)主催者の中澤さん、この日のゲストの小西さん。 @RESOBOX (c) Kasumi Abe

ニューヨークで挑戦する日本人エンターテイナーのために、「NYエンタメの会」という交流会が定期的に持たれています。24日はファッションデザイナー、小西翔さんのトークイベント&交流会でした。

小西さんは東京パラリンピックの開会式の布袋寅泰さんをはじめ、さまざまな有名人の衣装を手がけるファッションデザイナー。

ステージにぴったりなアバンギャルドな衣装が多く有名人のステージやドラッグクイーンからの依頼も。(c) Kasumi Abe

私がこの日聞いた話で一番印象的だったのは、その気概。

まず彼が掴んだチャンスは、体あたりで100通くらいDMを送り、その中から生まれることが多いんだそうです。

また彼が卒業した美大のパーソンズは年間の「学費だけ」で日本円で600万円とも言われています。ニューヨークは物価が高いので家賃や食費、そして生地など材料費も含むと相当なお金が留学に必要です。まさに、お金持ちしか行けない大学ですからご両親に無理と言われたそうですが、そこで諦めず彼はユニクロの奨学金制度を申請し、年間援助「1人枠」に入ることができた。在学中は休みなく学び、熟睡もできないほどだったとか。優秀なので、パリ留学も奨学金制度によるもので、もらった分だけこれからは社会や次の世代に還元をしたいと言っていました。

お金はあればあるほどいいんだろうけど、「ない」ところからガッツで這い上がってきた人はやはり何かが違うなと思いました。

また100通のDMアプローチの話の流れで、アーティストからたまに聞こえてくる人種差別についてどう思うか質問を投げかけてみたら、「差別はあるのかもしれないが自分は言葉の訳を自分なりにいい感じに置き換える」と。つまり受け取る自分次第と仰っていて、そのポジティブな姿勢も印象的でした。

帰りの電車の中でググってみたら、3年前「グッと地球便」というテレビ番組にフィーチャーされていた。↓

ちなみにこの「NYエンタメの会」は2015年に始まって今回は41回目。会の主催者もエンターテイナーで、ニューヨーク在住のダンサー、中澤利彦さん。バスに乗車し観劇する人気のショー「The Ride」などで活躍してきた中澤さんですが、コロナ禍のショーの閉鎖などにぶち当たりました。いよいよThe Rideも今月から再開ということで、さらなる活躍が期待できそうです。

小西さんも言っていたけど、「誰かに強制されているわけではなく、自分がやりたいことができること」は幸せなことですね。それを改めて感じた夜でした。

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