琉球芸能ユーチューバー「リュウカツチュウ」がリアル公演 若手実演家3人 古典、民謡幅広く披露、解説も

 ユーチューブチャンネル「リュウカツチュウ―琉球芸能活動中」のメンバー高井賢太郎(舞踊)、棚原健太(歌三線)、町田倫士(箏)による県内初公演「稽古照今」が6日、那覇市ぶんかテンブス館テンブスホールで開かれた。メンバーは動画配信を中心に活動している。それぞれが挑戦したい演目を披露し、合間に解説も交えた。

 第1部は棚原と町田の「そんばれ節」で幕開け。「四季口説」では2人の掛け合いが楽しく響いた。

 高井は、男女の固い絆を表現した「天川」でしなやかな手踊りを見せた。町田は18世紀に薩摩から琉球に伝わった10曲の箏曲の中から、箏曲としては珍しい声楽曲の「源氏節」をしっとりと歌い上げた。棚原は130種類の歌が付いているという「仲風節」を本調子で演奏。リズミカルな三線の音色に明るい歌声を乗せた。

 第2部では、沖縄民謡唄者の仲宗根創がゲスト出演した。ユーチューブでも好評だったという民謡と古典の違いの解説について、棚原が古典、仲宗根が民謡で「嘉手久節」を演奏しながら説いた。一音一音が伸びやかな古典に対し、カチャーシーの代表曲でもある民謡バージョンは、今にも踊り出しそうな軽快なリズムで、会場からは手拍子も起きた。棚原が「古典にルーツがある曲も形を変えて各地に伝わっている。歌は生きている」と話した。

 仲宗根は「移民小唄」も演奏し、古里を思う心を大切に歌い上げた。

 最後は全員で「まるまぼんさん」を披露。アンコールでは、高井が「踊るのを楽しみにしていた」という「鳩間節」を生き生きとした動きと表情で舞った。

 公演名は「いにしえを考えて今を照らす」という意味がある「稽古照今」。棚原は「稽古は(おのおのの技芸を)掘り下げること。今回の演目はそれぞれが自分と向き合って決めた」と説明。町田は「初心に戻って稽古に向き合いたい」と気持ちを新たにした。

 (田吹遥子)

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