米韓、拡大抑止強化で合意 韓国に戦略原潜派遣、核協議も

25日、米ワシントンの朝鮮戦争戦没者慰霊碑を訪れた韓国の尹錫悦大統領(中央)とバイデン大統領(AP=共同)

 バイデン米大統領と韓国の尹錫悦大統領は26日午前、ホワイトハウスで会談した。米政府によると、米国が核兵器と通常戦力で韓国防衛に関与する拡大抑止の強化を盛り込んだ共同文書「ワシントン宣言」で合意。弾道ミサイルを搭載可能な戦略原子力潜水艦の韓国への派遣や、米韓の核戦略計画に関する協議体新設が柱だ。

 対象原潜は「戦略ミサイル原潜」と呼ばれ、韓国に派遣するのは1980年代前半以降初めてとなる。より明確に拡大抑止力を示すことで核・ミサイル開発を進める北朝鮮をけん制する。韓国で広がる独自の核武装論を抑える狙いもある。

 原潜は韓国に常駐せず、朝鮮半島周辺に展開する米軍の原子力空母や戦略爆撃機と同様に不定期の派遣を想定している。

 米韓は核戦略計画を定期的に協議し、不測の事態に米側がどう対処するのかを韓国側に具体的に示す核協議グループ(NCG)の創設で合意。冷戦期に北大西洋条約機構(NATO)がつくった核計画グループ(NPG)をモデルにしたとされるが、米韓ではNATOのような「核共有」は想定していない。

米ホワイトハウスで会談に臨む韓国の尹錫悦大統領(左)とバイデン大統領=26日(AP=共同)

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