武力事態の「統制要領」内容判明 避難・救命、防衛相が海保を指揮

統制要領の仕組み

 防衛相が有事の際、自衛隊法に基づき海上保安庁を指揮下に置く手順を定めた「統制要領」の内容が判明した。他国から武力攻撃を受けて武力攻撃事態と認定された場合に、閣議決定を経て防衛相が海保長官を指揮。海保は住民避難や海上での捜索・救命といった後方支援を担い、自衛隊が軍事作戦に集中できるようにする。共同訓練で連携を強化。政府が近く公表する。関係者が26日、明らかにした。

 防衛相による有事の海保指揮は1954年制定の自衛隊法80条に明記されているものの、具体的仕組みがなかった。海保が自衛隊の一部と見られかねないとの懸念からだ。統制要領では、海保の警察機関との性格を変えず、準軍事化ではないと明確にする方針だが、誤解を招かないよう丁寧な説明が求められそうだ。

 統制は、武力攻撃事態が認定され、自衛隊に防衛出動が発令されている際に実施。自衛隊と海保の通常の協力では対処が困難など、特別の必要がある場合に限る。

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