激甚化する災害に備え 東京強靭化プロジェクト 未来の街は?

東京都は今年度に入り、「100年先も安心できる街づくり」を掲げ、壮大な防災計画を始動させています。激甚化する災害に備える東京のこれからの姿は?

東京都が今年度から本格的に取り組みを進めているのが、総予算規模15兆円、2040年代までに強い街をつくるという計画「東京強靭化プロジェクト」です。局地的な豪雨などによる水害や首都直下地震など、様々な災害に対して東京都が進める「強靱化」。どんな備えをすすめているのでしょうか?

練馬区大泉町の幹線道路の地下に続くトンネル式の「白子川地下調節池」。高さ10メートルの空間は3.2キロにわたり続いていて、貯められる水の量は21万立方メートル、小学校のプール約700杯分です。

さらに施設の周辺には…
記者:「子どもたちがサッカーをしているこの広場も調節池の一つです。脇を流れる白子川の水位がある一定以上になると広場の方に流れ出る仕組みになっています」

普段は運動場として開放されているこの場所も、川の氾濫を抑えるための調節池となっていて、合わせて3つの調節池で一帯の地域を水害から守っています。3つの調節池が揃って稼働を始めた2017年からこれまで、周辺での大きな水害の発生はありません。しかし、東京都が想定を超えるような豪雨にも対応しようと、強靭化プロジェクトの一環として進めているのが、トンネル式の調節池同士の連結です。

現在、白子川地下調節池では環状7号線の地下に伸びる約5.4キロ離れた別の調節池と連結する工事が行われていて、完成すれば全長約13キロの国内最大の調節池が完成します。

これにより白子川調節池の約7倍となる140万立方メートル以上の水が貯められ、1時間に100ミリの集中豪雨にも対応できるようになるということです。東京都はこの連結工事について、2025年度までの稼働開始を目指しています。

都内の災害対策をさらにレベルアップしていこうという「TOKYO強靭化プロジェクト」は、東京が直面する5つの危機に対応するため、事業規模は2040年代までで15兆円となっています。

水害への対策以外にも、地震対策として無電柱化の推進や、火山の噴火対策として避難施設の整備や、火山灰への対応をすすめます。また災害時に停電や通信障害が起きないようにする対策に加え、感染症にも強い町を作ることも目指していきます。

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