ポルシェ963でハイパーカーデビューのJOTA、初陣WECスパを「長期テスト」に充てる考え

 ハーツ・チーム・JOTAは、今週末の『ポルシェ963』での初レースを「長期のテスト」と位置づけ現実的な期待を寄せている、とチームの共同オーナーであるサム・ヒネットは語った。

 イギリスのチームは、先週金曜日にポルシェからカスタマーチーム用のLMDhマシンを受け取り、その前日にヴァイザッハにあるドイツのメーカーのレーシング・ヘッドクォーターでシェイクダウンを行った。

 ヒネットが「順調に進んだ」と述べた顧客用ポルシェ963のシェイクダウンは、ファクトリードライバーのマット・キャンベルが担当。初走行はポルシェのテストコースで20周の走行が2回行われている。

 JOTAはその後、ハーツの“レーシング・ゴールド”のカラーリングを施したマシンをドイツからベルギーのスパ・フランコルシャンに運び、今週4月27~29日にスパ・フランコルシャンで開催されるWEC世界耐久選手権第3戦『スパ6時間レース』に出場する予定だ。

 ル・マン24時間の“前哨戦”に位置づけられるスパでのシリーズイベントは、計3回のプラクティスと予選、そして6時間の決勝レースによって10時間以上の走行時間を38号車ポルシェに提供する。

「慌ただしかったが、彼らは良い仕事をしてくれた」とヒネットはSportscar365に語った。

「我々はここ(スパ)にいる。まだ、いくつかの問題が残っているが、週末に向けて走り出すことができるだろう」

「私たちにとっては長期のテストだが、レースで走って、できる限り競争するためにここにいる。しかし、皆の期待は現実的なものだ」

 また、ヒネットはハイブリッドパワートレインを搭載したLMDhカーで初めてとなるハイパーカークラスへの挑戦は、ハーツ・チーム・JOTAにとって「大きな課題」であると述べた。

 JOTAは今季のハイパーカークラスデビューに向け、開幕戦セブリングと第2戦ポルティマオでは『オレカ07・ギブソン』をLMP2カテゴリーで走らせ、シーズン開幕戦でクラス優勝を果たした。

 チームはポルシェから新車を受け取るまでの間、38号車のクルーをLMP2クラスで活動させており、ハイパーカーのドライバーであるアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ、イーフェイ・イェ、ウィル・スティーブンスは、シルバードライバーのデビッド・ベックマンとともにこれらの予備走行に参加していた。

「(スパでの)目標は、新しいクルマの経験を得ることと、ドライバーが経験を積むことだ」とヒネット。

「そこで何ができるかを見てみよう。誰にもわからないよ」

「私たちは皆、学んでいるんだ。ポルシェは私たちをサポートする方法を学び、私たちはサポートされる方法について学んでいる。それは学習のプロセスだ」

 ヒネットは、マシンの最初のシェイクダウンから土曜日のレースデビューまでの短いギャップは、クルーメンバーにとって特に忙しい時間であったと付け加えた。

「マシンのフィッティングのために徹夜をすることもあったが、今週はかなり合理的だった」

「しかし、今週末はまた夜遅くまで残ってすべてを終わらせることになる。でも、それが現実なんだ。私たちはここで自分たちのカラーを示し、できる限りのことをするためにここにいるのだから」

車両の引き渡しに先立ち、4月20日(木)にはポルシェのテストコースでシェイクダウンが行われた。
ハーツ・チーム・JOTAとJDC・ミラー・モータースポーツに引き渡されたポルシェ963の新車2台は、マット・キャンベルによって最初の走行が行われている。

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