フェラーリに初日トップを奪われたトヨタ「タイヤのウォームアップが大きな課題になりそう」/WEC第3戦

 4月27日(木)、WEC世界耐久選手権第3戦『スパ・フランコルシャン6時間』が開幕、走行初日は90分間のフリープラクティスが2回行われ、トヨタGAZOO Racing(TGR)は8号車GR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)が初日総合2番手、7号車(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス)が同5番手となった。

■低温のなか、決勝に向けた準備に照準

 今大会は、6月に行われる第4戦ル・マン24時間レース前の最後の一戦ということもあり、今季最多となる13台のハイパーカーがエントリー。この日は、赤旗中断などで走行時間が限られる中、僅差の争いが繰り広げられた。

 第1戦セブリングと第2戦ポルティマオは暑いコンディションでのレースとなったが、スパは一転、肌寒いコンディションで開幕した。FP1開始時の気温は9度。このセッションでは7号車はコンウェイとロペス、8号車はブエミと平川がドライブし、メカニカル、及び空力に関するセットアッププログラムをこなした。中盤の赤旗再開後すぐに、ブエミがこのセッションでのトップタイムをマーク。コンウェイの最初のアタックタイムで7号車はセッション3番手となった。

 午後のFP2でTGRは、決勝でのパフォーマンスを最大限に引き出すことを優先、また、チームの開幕2連勝には安定したタイヤマネジメントが大きく寄与したこともあり、ふたつの異なるタイヤコンパウンドの特性を分析することに焦点を当てた。

 3度のフルコースイエローと2度の赤旗により走行時間が削られる中、FP1で走行しなかった可夢偉とハートレーにとっては忙しいセッションとなったが、8号車は平川がマークしたタイムが最速でセッション4番手、7号車は可夢偉のタイムが7番手となった。

 スパの走行初日を終えた6人のTGRドライバーのコメントは以下のとおり。

第3戦スパの走行初日に臨んだ2台のトヨタGR010ハイブリッド

■小林可夢偉(チーム代表兼7号車ドライバー)

「残念ながら私は午前中走れなかったため、公式練習2回目が最初の走行となりました。スパは私が大好きなコースのひとつなので、また走ることができて嬉しいです」

「今日は、これまでのレースと比べて路面温度が低く、このコンディションに合わせるための調整作業を行いました。現時点での競争力を評価するのは難しいですが、まずはバランスを向上させる作業に取り組んでいます。まずまずのスタートが切れたと思いますし、さらにプッシュを続けます」

■マイク・コンウェイ(7号車)

「赤旗やその他要因で中断があり、走行時間が限られることとなって難しい一日だった。全体的に見れば、与えられた時間内でできる限りのことを学べたと思うが、もっと多くの周回を走りたかった」

「今日得られたことを活かし、今夜も改善を続ける。明日は天候が変わりそうだが、決勝レースへ向けて最大限の努力をしていく」

■ホセ・マリア・ロペス(7号車)

「今日は2回の短いセッションのような感覚だった。我々は可能な限りの努力を続け、特にタイヤのテストに注力した。路面温度がとても低かったので、ピットアウト直後は非常に難しく、タイヤのウォームアップが大きな課題になりそうだ」

「今日は悪い一日ではなかったが、もっと時間が必要だった。明日はどうなるか分からないが、楽観的に捉えている」

チーム代表兼7号車ドライバーの小林可夢偉

■セバスチャン・ブエミ(8号車)

「赤旗やフルコースイエローが何度も出て、波乱の一日だった。私は公式練習2回目で走れなかったので、決勝レースへ向けた理想的な準備ができたとは言えない。走行時間が限られたことは、全チーム同じ状況だ」

「データを見直し、持っているパフォーマンスのすべてを引き出すよう改善する必要があるが、明日は雨になりそうなので、一筋縄ではいかないかもしれない」

■ブレンドン・ハートレー(8号車)

「コース上でのさまざまな状況により、多くの時間を失ってしまったので、順調な一日だったとは言えない。走行が限られ、タイヤマネジメントについて学ばなければならない点が、まだ多くある」

「予選までに、これまで得られたデータを分析し、クルマの最大のパフォーマンスを引き出すにはどうすれば良いか見出すべく、全力で取り組む」

■平川亮(8号車)

「多くの中断で、各ドライバーの周回が多く限られた状況でしたが、これまでのところは順調に進んでいるように感じます。スパのように1周が長いコースではよくあることです」

「明日はウエットコンディションになりそうなので、また状況は変わるでしょう。今日得られたデータを分析し、決勝レースへ向けて準備する必要があります。明日の予選も全力を尽くしますが、重要なのは決勝です」

走行前日にピットロードで話し込むブレンドン・ハートレー、平川亮ら

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