M.マルケス、母国グランプリ欠場を決めた参戦リスク/第4戦スペインGP

 開幕戦で負った怪我により欠場が続くマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)だが、MotoGP第4戦スペインGPにも参戦しないことが発表された。マルケスはサーキットに姿を見せ、自らの言葉で欠場の理由を説明した。

 マルケスは、開幕戦ポルトガルGP決勝レースでミゲール・オリベイラ(クリプトデータRNF・MotoGPチーム)との接触、転倒により右手親指を骨折し、スペイン マドリードの病院で骨折箇所を2本のネジで固定する手術を受けたあと、アルゼンチンGP、アメリカズGPを欠場した。そしてさらに4月26日、母国グランプリであるスペインのヘレス・サーキット‐アンヘル・ニエトで行われるスペインGPを欠場することがレプソル・ホンダ・チームから発表された。続く第5戦フランスGPでの復帰を目指すという。

 こうした状況の中、スペインGPレースウイークの木曜日、ヘレス・サーキットでマルケスの取材会が行われた。この取材会に関しては状況が二転三転し、当初はホンダのホスピタリティで行うとされたが、その後、会見として実施すると周知され、結局、会見場ではなくホンダのホスピタリティでの取材会となった。

 会見場で行う「カンファレンス」でなくなりはしたが、マルケスの怪我の状況を知るべく集まるジャーナリストやフォトグラファーの数は変わらない。さらに、ヘレスはスペイン人ライダーであるマルケスの母国グランプリだ。ホンダのホスピタリティ2階で行われた取材会は、いつにもまして多くのメディア関係者でごった返し、夏のようなヘレスの熱気が室内にこもるほどだった。

 マルケスはまず、怪我の現状を説明した。

「4週間で回復しようとしてみたんだけどね。でも、最初からドクターは『6~8週間かかる』と言っていたんだ。僕は楽観視していたわけだけど。スペインGPで走るためにできることはすべてやった。でも、残念ながら、火曜日にCTスキャンをしてマドリードのメディカルチームと確認したら、彼らは『リスクが大きすぎる』と言った。あとふたつのメディカルチームにも確認したけど、満場一致で『ここ(ヘレス)で走るのはリスクが大きすぎる』ということだった」

「もちろん、(参戦する)可能性はあったけど、手術したところを痛めてしまう可能性がすごく高かった。3つのメディカルチームにそう言われたので、ヘレスの欠場を決めたんだ」

 再び怪我をすることになれば、今季の参戦レースが減るばかりか、キャリアにおいても影響を及ぼすことになる。そうアドバイスを受けたマルケスにとって「決断はすごく簡単だった」と言う。

「3つのメディカルチームは『走ればまたダメージを負うだろう』と言った。『クラッシュが問題なのではなく、リスクというのはハンドルバーからの圧迫だ。それでまた痛めることになるだろう』と」

「ひびは指を安定させるところにあって、そこは特に、ブレーキングポイントで最も重要なところなんだ。僕はその状況でこの骨を折った。そういう状況だと、どのブレーキングポイントでも、(走れば)また怪我をするだろう」

「また怪我をしたら大きなダメージになる、というのが彼らのアドバイスだった。(怪我をしたら)さらに3カ月かかるばかりじゃなく、僕のキャリアにとっても大きなダメージになる、と。手術はとてもうまくいった。でも、また怪我をしたらキャリアが終わってしまうかもしれない。決断するのは簡単だ」

 スペインGPの木曜日、ヘレス・サーキットに姿を見せたマルケスは「今夜、家に帰ってリハビリを続けるよ」と語った。怪我が順調に回復すれば、再びマルケスの姿をサーキットで見るのは、2週間後のフランスGPになるはずだ。

マルケスの人気ぶりをおもわせる観客席。今年は残念ながら、ヘレスでマルケスが走る姿は見られないことに

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