昭和にタイムスリップ 重伝建の焼きいも屋が店構え一新 しっくい壁やいぶし瓦に/岡山・津山市

重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)の岡山県津山市城西地区の一角で焼きいもを販売している西今町の「長乃屋」(店主・長尾新二さん)が店の構えを一新させた。町内一帯の家々で一斉に行われた軒の改修が完了した1937(昭和12)年ごろの姿を再現し、昔の情緒あふれる仕上がりになっている。

2020年に同地区が重伝建に選定されたのを機に、地区の景観づくりに協力できればと市の「伝統的建造物群保存地区保存事業」に賛同した。

復元したのは、築130年の木造2階建て母屋の外観部分。調査に基づき2階の外壁は創建当時のままのしっくいを、1階部分は昭和初期に建て替えられた時に用いられたベンガラを施し、屋根はとたん屋根からいぶし瓦にふき替えた。

市歴史まちづくり推進室によると、同町内一帯では、車やバスの通行が増えたため、歩行者や商店の利用空間を広げようと、道路側に突出する家の軒の一部を除く「軒切り」が行われた。これにより、1階と2階の外観が時代ごとに異なる風格を持ち合わせたおもしろい造りになっているという。

長尾さんは「眺めているとタイムスリップしたような気分に浸れる。同様に復元していく建物が増え、”昔ながらの風情が漂う町”として城西地区が多くの観光客らが訪れる場所となれば」と話している。

© 津山朝日新聞社