絶景シバザクラ今回も急げ!見頃期間が前倒し中 埼玉・秩父の羊山公園 多数のイベントはGW最終日まで

シバザクラを管理する引間隆さん=24日午後4時半ごろ、秩父市大宮の羊山公園「芝桜の丘」

 埼玉県秩父市大宮の羊山公園「芝桜の丘」でシバザクラが開花し、連日多くの観光客でにぎわいを見せている。今年は高温が続いた影響で、開花が例年より1週間以上早い。園内有料化が始まった14日以降、客足は順調に伸びているが、同園管理者は「5月までは花が持たないかも知れない」と表情を曇らせる。市は毎年、ゴールデンウイーク(GW)最終日まで「芝桜まつり」を開催し、観光誘致を図っているが、近年は5月前に見頃が過ぎ、園運営の対応に苦慮。シバザクラは来年以降も早期開花が予想され、気候変動への対応が課題になっている。

■気候変動対応に苦慮

 芝桜の丘は、約1万7600平方メートルの敷地に10品種、40万株以上のシバザクラが咲き誇る。市は2002年から開花期間中の園内有料化(一般300円)を実施しているが、昨年、一昨年は4月末でシバザクラの見頃が終了し、5月1日から入園無料を余儀なくされた。今年も5月まで見頃が続かず、入園料徴収期間が短縮される可能性がある。シバザクラの花が散り始めると、園内にはスギナなどの雑草が目立ってくる。

 同園で20年間シバザクラを管理している市都市計画課の引間隆さん(61)は「ここ10年で、地球温暖化は確実に進行している」と話す。シバザクラは20度前後の気温が続けば長持ちし、30度近くの夏日に見舞われれば早く散る。今月も19日から3日間連続で、気温が30度近くまで上昇した。同園のシバザクラの開花日数は、04~12年まで約40日間をキープしていたが、13年以降、開花期間が徐々に短くなり、近年は20日程度しか持たなくなっている。

 開花の延長を図ろうと、引間さんは、秩父盆地の高温多湿に合わせた品種を厳選して植栽。全国の農園関係者にも栽培法を相談しているが、各地で開花が年々早まり、同じ課題を抱えているという。「冷房器具で地面に冷気を当てる方法もあるが、莫大(ばくだい)な費用がかかってしまう。花観賞は季節の移ろいを感じるものなので、なるべく手を加えたくないが、せめてGW期間までは持たせたい」

 同園のシバザクラ開花期間中の観光客数は最大約100万人(06、07年時)で、毎年7割近くがGW期間中に訪れている。コロナ禍の影響で、20年は園内を閉鎖。21年から2年間は芝桜まつりを実施せずに開園したが、22年の大型連休期間の来場者は21年比54.2%増の10万6002人と回復傾向にある。

 今年は4年ぶりに芝桜まつりを開催。5月3日に秩父屋台囃子(ばやし)20連太鼓(番場通り)、同7日に羊の毛刈り披露(ふれあい牧場)など、市はGW最終日の7日まで市内各地で多数のイベントを企画してる。

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