「スポーツは生きる力を生む」 有森裕子さん、岡山同友会で講演

定例幹事会で講演する有森さん

 岡山経済同友会(岡山市北区厚生町)は28日、定例幹事会兼文化・スポーツ委員会特別例会を同市内で開き、同市出身で女子マラソン五輪連続メダリストの有森裕子さんが、「よろこびを力に」と題して講演。不屈の精神で挑んできた競技生活や海外でのスポーツ、教育支援活動を語った。

 有森さんは、就実高まで過ごした岡山時代について述懐。股関節脱臼を持って生まれ、「ランナーにはほど遠い。箸にも棒にもかからない選手だった」としながら、小学校や高校の恩師からかけられた「あきらめないのが武器だ」との言葉を胸に走り続けたと振り返った。

 その強い心が名将を動かした逸話も披露。日本体育大から実業団のリクルート入りを目指し、故・小出義雄監督と面接した際、目立った実績がなかったにもかかわらず「どうしても走りたい」と熱い気持ちを伝え、入社に至ったという。「1%でも可能性があれば、あきらめずチャンスにかけてきた」と話した。

 代表理事を務める認定NPO法人「ハート・オブ・ゴールド」(同市)のカンボジアでの活動も紹介した。小中高校の体育教育への支援や、2012年まで開催に携わった「アンコールワット国際ハーフマラソン」などの取り組みを説明。「スポーツは人間にとって、感動や喜びなど生きる力を生む。自分の経験を生かし、魅力を伝えたい」と述べた。

 会員ら約170人が聴いた。

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